2014-01-01から1年間の記事一覧

無限の過去から無限の未来へと流れていく直線的時間という幻想

私たちは、時間というものが、無限の過去から無限の未来に向けて一方的に流れていくものだと思っている。これは、年間を365等分した直線状の時の流れが、過去・現在・未来へ連綿と継起すると想定される通常の時間規制である。そして、それは人間が存在す…

運の正体を知って人生に生かす

運(あるいは運勢)が良い、悪いという言葉があり、実際、「運」や「運命」は人生に大きな影響を及ぼしているように思える。では、運というのは、どうしようもないものなのだろうか。ここで、運の正体をよりよく理解して、人生に生かす方法について考えてみ…

経営学の実践への活かし方

中沢(2010)は、旅館・ホテル運営会社である星野リゾート社長の星野佳路氏の経営は、どれをとっても「教科書通り」だと指摘する。星野リゾートの事業展開の背後には常に「教科書」が存在しており、社員のモチベーションアップやサービス向上策は、すべて経営…

経営学を学んだ後どう実践に使うのか

根来(2014)は、経営学を学ぶことは将棋や囲碁の定跡・定石を学ぶことに似ているという。定石を知れば、知らない人よりは強くなれるが、定石通りに手を打つだけでは必ず上達の限界に突き当たる。本当に強い将棋指しや囲碁の名人は、定石を超えて手を打つ。し…

経営学は経営教育に役立つのか

経営学は、単純化すれば、経営現象における法則性を科学的に解明しようとする学問だといえる。自然科学がそうであるように、さまざまな経営現象に共通する要素を抽出して、残りを捨象することにより、一般性の高い法則性を確立しようとする。その態度は学問…

技術経営(MOT)とは何か、どう成功させるのか

伊丹・宮永(2014)は、技術経営(MOT)とは「技術を武器にする経営」であるという。あるいは「イノベーションのプロセスを経営すること」ともいう。ここでいう「経営」とは伊丹・宮永によれば「他人を通して事をなす」あるいは「大勢の他人に自分が望ましいと思…

社会科学分野の国際化が困難な理由

物理学や化学、医学などの自然科学系の分野に比べて、経営学などの社会科学系の分野では、国際化が遅れているといわざるを得ない。つまり、グローバルな共通の土俵でみた場合、自然科学における日本のプレゼンスは世界的に見ても高いと思われるが、社会科学…

流れを自分のものにする方法

桜井(2008)は、サーフィンは、波の動き、潮の流れ、風の流れといったものをいかに巧みにとらえるかが勝負であるといい、魚や鳥はこうしたことを本能でやるという。気流や潮の流れを巧みに体でとらえ、一体となり、人間には想像もつかない距離を泳いだり飛ん…

「論理的」「理論的」に説明するとはどういうことか

学問、とりわけ学術論文においては、その内容を「論理的」あるいは「理論的」に説明することは必須である。では、論理的、理論的であるとはどういうことだろうか。出口(2013)は、大森(1981)を参照しながらそのことを説明している。 大森によれば、「論理的で…

流れを読み、ツキを味方にする方法

桜井(2010)によれば、ツキとか運には3種類ある。まず、天から授かる「天運」で、これは人間の力ではどうにもならない。もう1つ人間の力ではどうしようもないのが「知運」である。これは場所につく運である。この2つは「自然」から与えられる運であるが、…

手離すことで流れを味方につける

桜井(2010)は「人間は柔らかく生まれ、硬くなって死んでいく」という。得る一辺倒で手離そうとしないから思考も体もどんどん硬くなり、身動きがとれなくなって死んでいくというのである。裏を返せば、柔らかく生きていくには手離すことが大切だということに…

科学と技術の違いから理解する経営学

物理や化学のような自然科学とは対照的に、経営学という分野は、とりわけ世俗的に用いられる場合、曖昧もしくは多義的に用いられることが多い。とりわけ「学問としての経営学」という理解と「実践的方法としての経営学」という理解が混在している。そのため…

物理学に学ぶ経営学方法論

経営学を社会科学の1分野と位置づけるならば、同じ科学という意味で、自然科学、とりわけ物理学から学ぶことは多いだろう。そこで、物理学とは何かについて、朝永(1979)を用いて概観してみよう。 まず、物理学とは何かという問いについて、朝永は、物理学と…

論理的な論文を書くには

論文は「論理の束」だと考えられる。論文とは何かを論じることであり、それは、論理を用いてある結論を導くプロセスの記述だと考えられるからである。では、論理的な論文を書くにはどうすればよいだろうか。そのヒントとなるのが、数学で使われる論理を理解…

論文作成力を高める和文数訳のススメ

この世界には、数千年かけて改良されつづけた言語で、国や文化背景によらず共通に使われている言葉があると新井(2009)はいう。それは「数学語」である。数学の論文や専門書の記述では純粋な数学語が使われ、算数や数学の教科書では、日本語まじりの数学語で…

統計学における自由度と不偏分散の直感的理解

統計学の勉強を始めて最初のほうでつまづく分かりにくい概念が「自由度」である。1つの例が、母平均・母分散が不明な母集団から標本を抜き出した場合に、母分散の推定値となる「不偏分散」を求める場合である。 まず、標本分散と不偏分散の定義的および数式…

回帰分析を行うときにはすべての観測データは必要ない

誤解を招くようなタイトルなので、もう少し適切な言い方をすると、最も基本的な最小二乗法を用いた回帰分析を行って、定数や回帰係数の推定を行うとする場合、もともとの標本データの平均と標準偏差(分散)を計算して保持しておけば、後のデータは捨ててし…

認知言語学で理解する「流れ」の概念

「流れる」を使った言葉にはいろいろあるが、その中に「川が流れる」「桃が流れる」がある。一見すると、自然な表現であるが、冷静に考えてみると不思議な言葉でもある。西村・野矢(2013)によれば、これは認知言語学で扱うメニトニー「隣接の関係に基づく比…

ストーリーとしての学術論文

学術研究の成果は、論文などの「言葉」によって伝えられる。よって「言葉」の重要性は強調してもしすぎることはない。Pollock & Bono (2013)は、研究者の主な仕事は、重要な問いに答えることと、ストーリーを語ることだという。問いに答えるだけではだめで、…

論文の持つ価値を最大限に高める方法

いくら優れた研究を行っても、論文としてその価値を明確に表現できなければ、評価されることはない。では、論文の持つ価値を最大限に表現するための執筆法はあるのだろうか。Ragins (2012)は、経営学のトップジャーナルであるAcademy of Management Reviewの…

経営・マネジメントの実践に役立つ論文を作成する方法

経営学研究者が論文を発表するジャーナルは、あくまで学術雑誌であって実務誌ではないので、経営理論への学術的貢献は必須である。しかし、それだけではなく、経営学の性格上、論文で発表される研究成果がいかなるかたちで経営・マネジメントの実践に役立つ…

優れた査読を行うための心得

査読雑誌で、匿名審査員が投稿された論文を査読する目的の一つは、当該学術雑誌に掲載される論文のクオリティを最大限に高めるためである。そのため、査読のクオリティも、当該学術雑誌ひいてはその分野の学問の発展のためには欠かせない。 Caligiuri & Thom…

一般化線形モデルとは何か

粕谷(2012)によると、一般化線形モデルとは説明変数 x が、目的変数 y に与える影響を分析するための方法を統一的に理解しやすくしたものである。伝統的に広く使われてきた回帰分析を大幅に拡張し、より広い範囲で使いやすくしたものだともいえる。そのため…

易占いのひとつの解釈

中国で古くから伝わってきた易占いには、「当たるも八卦 当たらぬも八卦」という言葉がある。占いであるからには、何かを占う(予測する)ということになるのだろうに「当たるも八卦 当たらぬも八卦」とはどういう意図があるのだろうか。 いろんな解釈があろ…

変化を作りだせる企業

古森(2013)は、激しく変化する今日の時代において、変化にいかに対応し、舵取りをしていくかが21世紀における経営の最大の課題だという。そして、このような時代に勝ち続ける企業は、変化にすばやく、うまく対応できる企業であり、そこからさらに進んで、…