感性情報のデザインと身体性の絆

小阪(2008)によると、現代のような「感性社会」において、人の感性に訴える情報を「感性情報」と呼ぶ。感性情報とは、五感を通じて入ってくる情報すべてが感性に訴える情報である。イメージ情報、音響情報、文字情報、身体情報、造形情報、臭覚、味覚・・・など、私たちの身の回りに無意識のうちについてまわっているもので、私たちは「感性」という高次情報処理機能で、それらを瞬時に統合的にとらえるのである。現代においてすべてのビジネスは情報産業(感性産業)であり、現代のビジネスで成功するためには、感性情報のデザインが必要である。つまり、お客さんの感性に響く、感性をつかむことの情報を生み出せるビジネスである。


そこで重要となってくるのが、自分自身の「軸」であり、軸は変えてはいけない仕事の根っこであり、言い換えれば「道」である。信念、哲学、ミッション、ビジョン、ライフワークなどという言い方もできる。武道や芸道は、長い年月を耐えて姿を変えながら伝道され続けており、顧客や社会への普及・伝道が可能なものである。普及・伝道には「術」も必要だが、術の奥底にある魂を普及させることが大切である。


自分(自社)の「道」がない場合、見つからない場合、どうすればよいか。小阪は「それは簡単だ。動けばいいのである」という。「動き、考え、また動いていけばそこに道が立ち現れてくるのではないだろうか(p135)」。絶え間ない変化が、感性社会のビジネスの宿命であり、自分自身も変わっていかなければならない。そうして、たゆみなく感性社会で道をなしていくと、その道に共感するお客さんがどんどん増えていくと言う。


さらに小阪は「情報社会ゆえに人はより強く「身体性」を求めているのではないだろうか」と言う。それは生身の絆であり、その絆は情報の送り手の道との間に築かれる。例えば「売り手と買い手との間に絆があり、売り手が提案するものに嘘がなく、期待をしばしば上回るものであれば、商品の中身を知らずして顧客は商品を買うことがあるのだ(p139)」