ファシリテーションのテクニック

高野(2007)によれば、ファシリテーションのポイントの1つは「発散」と「収縮」の使い分けである。それによってアイデア増幅を図ることになる。プロセスとしては、その前に、アイスブレークなどを活用して、安心して話せる「場」と「空気」を作る(共有する)ステップが必要である。その後、ブレーンストーミングなどの手法を用いながら発散を行い、プライオリティづけやグルーピングなどで発散したアイデアを整理して「見える化」しながら、アイデアの収束を図る。模造紙、ポストイット、ホワイトボードなども活用しつつ、それらをまとめて分かち合う作業を通じて目標に近づく。


ファシリテーターには、プロジェクトを「運命共同体化」して、人を巻き込んでいくスキルが必要である。1人ひとりのメンバーが自律的かつ主体的に考え、行動し、現場から生き生きした情報や知恵を汲み上げ、それをもとに「知恵の渦」を巻き起こし、やがて全体的な「行動の渦」へと変えていくわけである。ファシリテーター型変革リーダーとは、生き残るための先を読む鋭い感覚と、メンバーを改革の渦に巻き込んでいける人間的魅力・求心力を兼ね揃えたリーダーだといえる。