成功者に学ぶ相場観

小口(2008)によると、収益性のある為替ディーラーはほぼ例外なく論理的ではなく、寡黙か、饒舌なら支離滅裂のことがほとんどだという。逆に収益力のないディーラーほど話が論理的で明快だという。おそらく、相場の肝はギリギリの場面での判断力がものを言い、それが収益力の決め手となるが、そうした場面ではいくつかの要素がせめぎあっているため論理的に語れないからだと言う。論理的なディーラーほど判断が遅くなってしまうのであろう。


また、良いディーラーの条件とは「ストップロスを守れること」「ここぞと思うときはポジションを大きく持てること」「相場に謙虚なこと」だという。言い換えれば「自己規律が強く」「思い切りがよく」「柔軟性がある」ということだ。


ポジションは作るときよりも切るときが重要だ。自分が間違ったポジションを持ったことがわかったら、いち早くそれを見切り、素早く正しいポジションにつなげられる者が力のあるディーラーである。ポジションを持つことによって「市場のリズム」を感じるのである。


小口(2008)は、個人投資家は、素人であることを自覚して相場に謙虚になることが大切であるという。自分は外為市場という巨大な海の中でちっぽけな小船で漂流しているのだ、そんな大海の中で、自分の考えや行動に少しでも傲慢になったら、軽く押し流されてしまうのがおちだ。市場の流れに素直に身を任せることが肝要である。ニュースや市場の動きを常に見ていると、世の中の動きや市場の方向性について、自分の中に熟成された感覚が芽生えることがある。そうなったら、その感覚を信じてポジションを取ることだ。人の意見を安易に受け入れ、あたかも自分の感覚のようにしてポジションを取ることは絶対にしてはならない。