相場の力学

金融のマーケットにおいては、ポジションを持ち越せないなどの制限が、相場を左右する大きな力を生み出している。このような相場を動かす力の例として、以下のようなものがある。

ポジション保有時間

一定の期間以上ポジションを持ち越せないという制限があるため、どこかでポジションをスクエアにしなければならないことが売りや買いの力を生み出す。

ポジションリミット

ロングやショートがポジションリミットいっぱいになってしまうと選択肢が制限されてしまい、売りや買いの圧力を生み出す。

損切りリミット

一定の値にまで損失が膨らんだ場合に損切りしなければならないルールが、売りや買いへの力を生み出す。


相場を動かしている力を見るうえで重要なのは、市場がどんな材料に注目しているかである。その材料をもとにして将来のシナリオが作られる。これをシナリオメークという。


基本的に、材料には必ず売り材料と買い材料があり、同じ材料からも売りシナリオ、買いシナリオ両方作ることができる。要するに、どんな見方をしても結局は説得力のあるシナリオが描ける。むしろ大切なのは、相場の動きは、参加者のだれかが明確な意図をもって、さまざまな材料の中から何らかの材料を選び出し、特定の方向に市場を動かしていくためのシナリオを作っていると考えられることである。


だから、市場があるひとつのシナリオに注目しているとしたら、そのシナリオには誰か必ず作った人間がいて、そしてそれは、つくった参加者の狙いを反映している。それはトレーダーがシナリオの方向にポジションを保有していることにほかならないわけである。よって、シナリオメーカーの意図を見抜くことが大切なのである。