現代のキャリア形成・開発については、個人が主体的・自立的意識を持つことが必要とされてきている。そこで注目されるのが「主体的ジョブデザイン行動」である。
高橋(2003)では、自分自身の充実度・満足度を高めるような行動もしくは「キャリア自律行動」にはどのようなものがあるのか、日本の社会人約2400人(日本の企業 14社、各社から100〜200人)に対してアンケート調査を行い、得られたデータから80の質問項目をクラスター分析したところ、[1]主体的ジョブデザイン [2]ネットワーキング行動 [3]スキル開発行動 の3つの因子が、内的キャリア評価と高い相関を持っているとの結果が得られたと報告している。また、高橋(2003)では、60人以上のビジネスパーソンに対する調査の結果として、「夢や理想とする職業に向かって一歩一歩計画的にキャリアをつくり上げていくより、日々の仕事に主体的に向き合っていこうとする自立的なジョブデザイン行動をとっていた結果として振り返ってみると、満足のいくキャリアができていたというケースが非常に多かった」と報告している。
主体的ジョブデザイン行動の定義と次元
ジョブデザイン行動とは、「日々の仕事に主体的に向き合っていこうとする(ジョブデザインをする)自立的な行動」と定義づけることができよう。これは、仕事のやりがいや充実感に直結しているのは「キャリアデザインよりも日々のジョブデザインだ」という思想にも絡んでいる。高橋によって得られたジョブデザイン行動の下位次元は以下の通りである。
- 自分の価値観やポリシーをもって仕事に取り組む
- 社会の変化・ビジネス動向について自分なりの見解を持つ
- 部署・チームを超えて、積極的に周囲を巻き込みながら仕事をする
- 仕事の進め方や企画で自分なりの発想で取り組む
- 自分の満足度を高めるよう仕事のやり方を工夫する
参考文献・サイト
高橋俊介 2003「キャリア論」東洋経済新報社
高橋俊介 2006「スローキャリア」(PHP文庫)
ブックレビュー 〜 キャリア論