幸運の流れに乗る方法

諸富(2009)は、クランボルツの計画された偶発性の理論を紹介しながら、偶然をチャンスに変え、幸運の流れに乗る方法を説いている。


諸富によれば、真の幸福と成功を手に入れる人は、自分を幸福にしてくれる偶然(ラッキーな出来事や出会い)が起きやすいような考えや価値観を持ち、それにふさわしい人生への構えを取り、それにふさわしい行動をしている。つまり、偶然を大切にすることで、人生を切り開いていく姿勢を持っている。逆に、せっかくさまざまなご縁が与えられていながら、それに自ら心を閉ざしてしまう人は、能力や才能があっても、やせ細っていく人生しか送ることができない。


「幸せを呼び込みやすい人」は、自分に幸福や成功を与えてくれる出来事や出会いに心が開かれているから、心が動いたらすぐに行動できる。そうすれば、自分の人生の波に乗ることができ、自分を幸福や成功に導いていく大きな流れ(フロー)をつかみ、その流れに意識的に従いながら生きていくことができるのである。一見、偶然に見えるこれらの出来事や出会いは、さまざまな人とのつながりによって起こるものであるから、「縁」を大切にする生き方であると言ってもよい。


偶然に開かれた心を持っていると、ヘルパーを呼び寄せることもできる。ここでいうヘルパーとは、人生が危機に追い込まれているとき、あるいは魂が単調な毎日の繰り返しに疲れて乾ききってしまったとき、突然訪れては人生の流れを変える「手助け」をしてくれる存在である。人、本や映画、テレビ番組、旅での出来事など、さまざまなものがヘルパーとなりうるのである。


このように、自分に幸福や成功をもたらしてくれる偶然を生み、それをつかむように行動しているわけであるから、これはもう「単なる偶然」ではなく、計画的に生み出された偶然である。行動しなければ得られることがなかったものだからである。つまり、必然的な偶然なのである。シンクロニシティ(意味のある偶然)は、時として人生の流れを変えてしまうような大きな力を持つが、人生で劇的に大きな流れを創り出し、幸福や成功を手に入れることができるような人は、シンクロニシティに開かれた心を持っているのである。その姿勢が、幸福や成功をもたらす大きな流れをつかむ能力につながっている。