原田(2013)は、グローバルなビジネスの現場で最大の収益を上げていくために何よりも必要なのは、グローバル・マクロ(国際的な資金循環)の中で「風」を感じ取る能力であるともいう。海外ビジネスを展開する場合、マネーが湧き出ているところをピンポイントで目指さないと何の意味もないからである。
原田は、この能力を磨く方法の1つとして「情報リテラシー」の強化を挙げている。例えば、誰でも入手できるインターネット上の公開情報を使って、グローバル・マクロ(国際的な資金循環)と、それを取り巻く国内外情勢の今とこれからについて、自分の頭で考えてみる。公開情報を分析する際に最も重要なのが「定点観測」と「比較」である。注目すべきは、全体と比較して余りにも突出した記事(情報)であり、そうした記事こそが、世間を揺るがし、やがては物事を動かしていくことが多いからである。
公開情報を読み解くためには、例えばグローバル化が進み国境がなくなっているマーケットで縦横無尽に活躍しているアメリカや欧州の企業たち(越境する投資主体・事業主体)にある、ある一定の行動パターンの理解が重要となってくる。それのみならず、近現代史から始まり、時には古代に至るまでの様々な歴史を深く学ぶ必要があり、マーケットだからといって経済だけでなく、人文科学から自然科学まで幅広く知識を身につけていく必要があるという。原田はこれを「グローバル・リベラル・アーツ」と呼んでいる。