「成功へのヒント」より
本田は創立当時から「世界一になる」と宣言していた。
「今の技術的な隘路を打開すれば、オートバイは爆発的に売れるようになる。そうすれば次のエンジンはおれが開発するから、うまく回転していけば、世界一なんてすぐだ」
と朝礼のたびにみかん箱の上に立って叫んでいたのだ。
社員は皆、「うちの社長はなんて大ぼらふきなんだ」と思っていた。
「未来への夢ブログ」より
松下幸之助率いる松下通信工業の幹部全員が集まり
会議が開かれていた。トヨタ自動車から大幅な値引き要求があったのだ。
松下が納めていたカーラジオを半年以内に20%コストダウンしろ、
との要求がトヨタからあったのだ。
・・・「コストダウンというのは5%、10%を目標にしたら
かえってできないんや。20%となると、
もう小手先の知恵ではどうにもならない。
発想を全て変えないとできん。
大きさを半分にしてしまうくらいの発想でないと、
これはできんわな?
これは単に値引き要求を受けたというだけのことではないんや。
日本の産業を発展させるための公の声だと
受け止めなければならんのやないか?
もし20%の値引きに耐えられる製品ができたら、どうや?
トヨタさんだけやなく世界で通用する製品になるんやないか?」
会議室の空気が一変した。
この会議に参加していた幹部の一人は
「最初、みんなが困惑して淀んでいた会議の雰囲気が
ぱっと晴れたかのように明るくなった」と、語っている。
「これができたときには全世界の会社が売ってくれと飛んでくるで。
そう考えると、これはピンチやないな。
松下にとって飛躍への天佑やな。チャンスやと思わんか?
ありがたいことに、できたら買ってくれるという
先まで決まってるんや。
こんなにありがたいことはないで。
普通は納入先を探さなあかんのやからな」