採用選考場面における「おとり効果」(Decoy Effect)と幽霊効果(Phantom Effect)

採用選考場面において、AとBの2人の強力な最終候補者のうち、誰か1人を選ぶものとする。もし、選考の対象となっているのがすでにこの2人に絞られているならば、Aが選ばれる可能性が高いとしよう。


しかし、この2人に加え、決して最終的に選ばれることのない第3の候補者を混入して、3人のうち1人を選ぶという状況を作り出すと、なんと、この3人目の特徴如何によって、AではなくBが選ばれてしまう確率が高まることがある。


実際には選ばれることのない第3の候補者が混入することによって、意思決定結果が異なってしまう効果を、「おとり効果」(decoy effect)という。この「おとり候補者」が決して選ばれない理由は、他の2人の採集候補者のうち1人には、すべてにおいて勝つ要素がないからである。けれども、もう1人については、どこかで勝っている要素を持っているために、意思決定結果を左右することにつながるのである。


同様に、最終候補者の2人よりも優れておりながら、選ばれても入社する可能性がほとんどない候補者が入ることによっても、その候補者の特徴如何によって、AではなくBが選ばれてしまう確率が高まることがある。これを、幽霊効果(phantom effect)と呼ぶ。

文献

Highhouse, S. (1996). Context-dependent selection: The effects of decoy and phantom job candidates. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 65, 68-76.