リーディングリストを作る

研究の第1段階として、リーディングリストを作ることから始めよう。リーディングリストの目的は大きく2つある。まずは、既存の研究を展望するためである。研究は、いまだにわかっていないことを解明するために行うものであるから、今までに何がわかってきて、何がまだわかっていないのかを明確にしなければならない。そのために、既存の研究を勉強する。つまり、研究に先立って、自分のための教科書をつくる作業が、リーディングリストの作成なのである。


もう1つの目的は、実際に論文を書く段階で役に立てるためである。リーディングリストから余計なものを省き、いくつか新たに加えれば、論文の参考文献リストができあがるのである。そのための準備をあらかじめしておくわけである。


リーディングリストを作るコツは、まずはその研究分野でキーとなる文献を見つけ出すことである。あるいは、キーとなる展望論文を見つけ出すことである。最初はその分野に明るくないわけだから、試行錯誤が伴うが、そのうち、キーとなる論文に出会うことができるだろう。これらの論文が参照している文献、およびこれらの論文を参照している文献をたどっていくことにより、芋づる式に論文が見つかってくるので、それを記録しておく。そして、原本も入手し、束ねていく。リーディングリストとともに、自分だけの分厚い教科書ができあがってくる。