身体感覚と実践

スポーツなどをしているときに、大事なのが、身体の重心を下に持ってくること。そうすると、下半身が安定する。例えば、野球、テニス、ゴルフ、柔道、相撲、スキー・・・。下半身の安定はスポーツの基礎である。重心が上にくると、歩き方も浮き足だつ。下半身が安定せず、転んだりバランスをくずしたりする。武士は、重心が下方にあって、のしのしと歩くと聞いたことがある。


重心を下方におき、安定させる。スポーツだけではなく、ビジネスや日常生活の実践でもいえることではないだろうか。重心が下方にある人のやることというのは、地に足がついているのである。意識的に重心を下に移すというのは、土台をしっかりさせるということだろう。ものごとの取り組み方として、まず土台をしっかしとし、そこにどっかを腰をすえているから、安定し、ゆえに周りからみても信頼感がでてくるのだろう。重心が上方にあがっているような人は、浮き足だって危なっかしい。うわついている。あるいみ、空中戦のように華やかな人もいるが、それゆえに、ふわふわしている感じがある。地に足がついていないのである。


重心が下方にあるということは、下腹部に力をこめているような状態である。肝をすえるということだろう。あるいは、肝がすわっているということだ。安定しているから、落着き払うことができ、ゆえにちょっとやそっとのことでは動じない、肝がすわった感じになる。重心が上がっている場合には、予期せぬ出来事がおこったときに、慌てふためいてしまう。肝がすわっていないので、どこか不安げな印象をうける。よくしゃべったり、利口そうに見えても、隙が多そうである。言動に重みがなく、言っていることが、かるい感じがする。


言動の重さ、軽さを野球でたとえると、下半身の働きがあまりなく、重心が上にあり、上半身の力だけで投げるピッチャーは、速球投手でも回転がかって意外と球が軽く、すぐにホームランを打たれるというイメージである。尻の小さな投手は大成しない。逆に、重心が下にあり、下半身で投げるようなタイプのピッチャーは球が重い。名投手は腰が太い。安定した身体から全身の力が球に込められるからだろうか。


重心が上方に移動してしまう場合というのは、例えば、心が浮かれているとき、良いことがあってうきうきしているときというのは、うわついているがゆえに安定性を失っており危険である。「勝って兜の緒を締めよ」といういましめにも表れている。


重心を下方におき、腹をすわらせ、肝をすえて、安定した、重みのある仕事、信頼感の高い仕事をする。これは大切なことではないだろうか。