勝見(2006)は、セブンイレブンのトップとして経営の舵取りを続けた鈴木敏文氏の経営の発想や考え方を分析し、以下のような5つのパターンの発想法に分類している。
- 時間軸で変化の流れを大きく捉える視点
- 世の中の短期的な過剰反応などに付和雷同することなく、時間軸で大きな動きを捉える。現状を大きな流れの中で捉える。
- 時間軸を輪切りにして断面を見る視点
- 時間軸ではある方向に流れているように見えても、時間を輪切りにして断面を見ることによって、世間一般で考えられている趨勢、傾向とは違う、本当の姿が見えてくる。
- 時間軸で未来から見て今を位置づける視点
- 今は未来の反映でもあることから、未来軸から、現在起こっているなんらかの現象の原因を見つけ出そうとする。
- 脱経験的思考
- 過去の経験や固定概念に一切とらわれずにものごとを考える。過去の経験から、できない理由を列挙するのではなく、できるようにするためにはどうすればよいかを考え、常識を覆していく。自分を縛る制約条件から脱する。
- 陰陽両面的思考
- すべてのものには見かけの面とともに、裏返しの面がある。表面の意味のみに気をとられず、裏面の意味も同時に読み取り、裏面がもたらすであろう事態を先読みする。
1から3は考え方の中に時間軸を入れ、世間一般な見かたに惑わされずに今という時代をしっかりと見据えようとする視点であり、4はそれをもとに判断するときの考え方、5は物事の表面的な意味合いだけでなく、裏面も読み、その本質を見極めようとする視点だという。こうした多様な視点を持つことにより、客観性が担保されるという。それぞれの視点の中からどれが最適化を瞬時に判断するのがカン(直観)なのである。