根気・粘りで直観磨く

羽生善治氏は、インタビュー記事にて、流れとかかわることの難しさについていくつかコメントを残している。

局面をどう打開するか、あるいはどう流れをつくっていくかという場面で、テンションの高さ、すなわち気持ちの上で向かっていけるかどうかが重要な要素になります。根気とか粘り強さを持って思考を重ねることが、直観とかひらめきにつながるからです。・・・将棋でも最初に対峙したときとかに、互いの気持ちの強さのようなものがわかる瞬間があります。

王座戦はずっといい流れで来ている。ただ、棋戦によってはうまくいかない時がある。悪い流れになっても過去のことを割り切って引きずらないことが大切。その瞬間から次にどうするかを考えるようにはしている。ただ、時としてどうやっても流れを変えられない時もある。

長く棋士生活をしていると、その時のトレンドにどう合わせていくかというのが重要になる。・・・今までの定跡や知識があまり役に立たなくなるので、ベテランにとってはつらい面もあります。ただ、今までの勉強がすべて無駄になるかというと、そんなことはありません。古い戦法でも、それを勉強する過程で培った大局観あるいは決断方法は実際の対局で役立っているし、大きな糧になっていると思います。

出所

負けない心 羽生善治さんに聞く 2010/7/3 日本経済新聞夕刊