新卒採用面接で高い評価が得られる要素

リクルート組織行動研究所 研究レポートより
http://www.recruit-ms.co.jp/research/report/100224.html

面接で評価されるものは、「A)“対面コミュニケーション場面”という特徴によって、どのような面接でも共通して評価されるもの」、「B)仕事や役割の遂行に必要な人物特徴から評価されるもの」に大分されます。A)には、外見やコミュニケーション能力の高さ、表情の豊かさなどが含まれ、B)には、いわゆるコンピテンシーや性格特性などが含まれます。

海外の先行研究で面接評価との関連が最もよく研究されているのは一般知的能力です。先行研究からは両者の間には、やや強い正の相関があることがわかっています(e.g., Huffcutt, et al, 1996)。一般知的能力の高い応募者は、面接時に論理的に、あるいは簡潔に、あるいは複雑なことをわかりやすく話すなどして、コミュニケーションの質を上げることで評価を高めるためではないかと考えられます。

一方、性格特性との関連性についてはあまり多くの研究がなされていないものの、いくつかの研究で関連性が最も強いのは「外向性」であると報告されています(Barrick et al, 2000;Huffcutt et al, 2001)。「外向性」は、面接ではなく一般的な対人場面での印象評価にも強い影響があることが示されています(Kenny et al, 1994; Levesque and Kenny, 1993; Park & Judd, 1989)。つまり、外向的な人は積極的だったり、明るい印象をもたれたりするため、初対面での印象を良くすることで面接評価に影響を及ぼしていると考えられます。

リクルートが国内で実施した独自の研究では、「外向性」は一般に面接評価にプラスの影響を及ぼすことが支持されたとしている。外向的な人ほど、面接で好印象をもたれ、高評価を勝ち得る可能性が高いことを示唆している。また、「日本では知識を身につける、論理的な思考をするといった一般知的能力に支えられる職務行動よりも、同僚や上司との良好な人間関係の中で職務を行うといった性格特性に起因する職務行動がより重視されているのかもしれません」とのコメントもある。

今後は、面接の評価内容と入社後のパフォーマンスとの関係性についても検討を進めていく予定です。職務や組織にかかわらず共通に評価される「外向性」は単なる評価バイアスなのか、仕事をするうえでの対人関係構築に役立つからなのか、適合評価のうち、組織への適合と職務への適合のどちらがより入社後のパフォーマンスとの関係性が強いのか、などの疑問に答えるための研究を行っていく必要があると考えています。

リクルートの研究結果から言えることは、わが国の新卒採用においては、性格特性として外向的でない学生が不利になるということである。外向的な人ほど仕事が良くできるからなのか、面接官のバイアスを示しているのか、よくわからないとしているが、外向的な人ほど仕事ができるというのは、どのタイプの仕事にも当てはまることではない。よって、このままだと、企業は採用において「外向的ではないが仕事ができる人」を取りこぼす可能性が高い。そうであれば、企業にとっても本人にとっても望ましくない。だからといって、外向的でない人に「少なくとも面接では外向的であるかのように振舞いなさい」と指導することは、あたかも世間の通年に迎合するようにしなさいと指導しているようで、あまり望ましいと思えない。


そこで活用が期待されるのが、性格特性検査である。かなりの信頼性・妥当性を持つ性格特性検査を行えば、面接に来る学生が、自分を外向的に見せるために取り繕っているだけなのかどうかがわかる。つまり、面接官のバイアスに影響されない、より適切な性格特性の把握が可能となる。そして、性格特性と入社後の仕事振りをマッチングさせることで、性格特性が採用選考でどれくらい重要なのかの科学的な検証が可能となる。