組織化プロセスのマネジメント

高橋(2010)は、組織を静態として捉えるのではなく、組織化のプロセスこそを研究することの意義を説くカール・ワイクの以下の説明を紹介している。

同じ川の流れに二度足を入れることはできないように、同じ仕事の流れのなかで二度仕事をすることはできない。こうした流れとか変化こそが、管理者が管理するものの本質なのである。この過程をとらえるのが難しいために、背びれのとげの数を数えるような行為に走ってしまう。その結果、静止したスナップショットを組織の重要なリアリティだと思い違いをすると組織を台無しにしてしまうことになる(高橋2010:184-185)

社会科学の場合、何かが起こっている「コト」が大切なのであって、組織のような物理的実在ではない概念であればなおさらである。組織の場合、さまざまな行為が織り成されている動きそのものが組織の本質であり、その動きとかプロセスを、そのまま理解することが一番大切なのだろうが、それが難しい。よって、スナップショットのようにある状態の一部を切り取って組織を分析することが多くなされるわけであるが、それだけで組織の本質を理解することはできないということなのだろう。