流れを読んで「運」に運ばれる

桜井(2008)は、変化を感じ取り、流れをつかめばおのずと運命は変わっていくと言う。変化をつかみ、その上でさらに自分が望む流れをつくっていこうとするわけである。桜井によると、運には「天運」「人運」「地運」「時運」があり、自然の動き、時と場所の良し悪し、人間関係によって変わるという。流れに乗るには、複雑に絡み合うこれらの運の変化をどれだけ感じ取れるかにかかっていると言う。運やその波を感じるのに重要なのは、人間関係について感じたり考えたりする「相互感」、全体を見通す「全体観」、変化のタイミングをとらえる「時の感覚」である。


桜井によれば、運がさまざまな表情を見せるのは、それが刻々と変化しているからである。変化の無いところに流れは起きず、変化の連続が流れになる。また、流れはひとつの方向にまっすぐ進んでいるのでもなう。けれどもそれは、ひとつの流れがさらに小さなたくさんの流れでできていて、その部分部分の話である。例えばイカダに乗って川下りをすれば、流れが急に速くなっているところ、淀んでいるところ、多くの流れがぶつかって複雑な流れをつくっているところなど、さまざまな流れがあることに気づくだろう。


つまり、無数の流れが一緒になって大きな流れになっている。その瞬間は小さな流れでも他の小さな流れと徐々に一緒になっていき、やがて全体の流れを変えてしまうほどの大きな流れになる。したがって、小さな流れを敏感にとらえていくことで次に出てくる変化の予測が可能になると桜井は言う。大きくとらえて小さなものにも気づくことが流れを感じ取るうえで重要なのである。