自然の摂理に従って格好よく生きる

桜井(2009)によれば、自然界のサイクルは、得たら捨てるの繰り返しで成り立っているので、どんどん積み重ね、得ていくばかりで捨てることがない「得る一辺倒」の発展や形成は、自然の摂理から外れているといえる。自然の摂理から外れていれば、いつかどこかに無理がきて、形成されていたものは瓦解するのである。


また、桜井は、「格好つける」ことは大切なことだという。ただ、こだわりすぎたり、囚われたりするのもよくない。臨機応変、適材適所、柔軟性でもって着るものを使いこなす人は、センスがあり、格好よく見える。優柔不断な人は流行に流されやすく、着るものとともに気持ちも変わってしまうが、臨機応変な人には芯があるから、着るものが変わっても気持ちは変わらない。臨機応変な人は、よい意味で変わり身が巧みな人であるのだ。


桜井は、柔軟性やしなやかさの重要性も説く。「柔能く剛を制す」という言葉があるが、しなやかさで剛強なものの矛先を逸らしつつ、あるいはその剛強なものの力さえも逆に利用しつつ勝利を得る。じつは「静」的な柔らかいものにこそ本当の強さが秘められている。柔らかい動きは、同じ力を出すにしても、余分な力を必要としないため効率がよく、スタミナ切れもしにくい。柔らかい動きは次の動きに入りやすいし、相手の動きについていくことができる。桜井の考える勝負の3原則とは、「臨機応変(どんな状況にも動じず冷静に対応する)」「適材適所(その場その場にふさわしい行動、動きをする)」「柔軟性(考え方の柔らかさ)」なのである。強さを醸し出している人は、柔らかさの中に芯を持っている。