自然体が格好いい

常盤(2008)の思想は、人間は、肩の力を抜き、柔軟で自然体でいるときが最も輝くことができるを示唆するものである。なぜ自然でいることが格好いいのか。それは、人間は自然の一部であり、自然の一部として「生きる力」をはじめからもっているわけだが、自然はその生きる力を最大限に引き出す環境を提供するからである。そもそも、自然に理に沿った生活をすれば、身心ともに健康になれる。朝一番の太陽の光など、自然の精気が毎日の活力を生み出す。


人は自分でも気づかない、いろいろな可能性(潜在能力)を持っている。それは、もともと自然が生み出したものである。自然は創造の源なのである。だから、自然の力を借りれば、そういった内部の素質や能力が引き出される。つまり、格好よく、輝くことができる。


アルフレッド・マーシャルは、「あらゆる物事は悠久の大河の流れのごとく漸進的、連続的に変化していく」すなわち「自然は飛躍せず」という言葉を残している。つまり、自然には偉大なる力が宿り、ゆっくりと、しかし着実に変化しながら新しいものを生み出していく。同時に人間にも「生きる力」が潜んでいる。


したがって、自分というせいぜい百年しか生きることのできない有限な存在を超えた、より大きな存在に気づき、謙虚に、敬虔な気持ちで生きていく精神風土を育み、五感を研ぎ澄まして自然と接するならば、自然には「掟」があることを知らされることであろう。自然の一部である人間は、この掟に則って生きるとき、もっとも人間らしく自然なのである。