考え抜き、何度も書き直す

優れた論文を書くコツは、とことん考え抜いて、何度も何度も書き直すことであろう。これを極限状態まで諦めず、しつこく繰り返す。諦めたら終わりである。


ある程度頑張って論文を完成させたとしても、どことなく内容が浅いような論文のような場合がある。もうこれ以上、良くならないと思うかもしれないが、実はそこが始まりだったりする。


そこから初めて、さらに粘り強く考え抜くのである。毎日毎日考え、少しアイデアが出たらそれを元に書き直す。この非常に地味であるが地道な作業である。一日にたった一行でも書き直せば、前進したことになる。それを毎日繰り返せば、論文は見違えるほどよくなる。まさに、塵も積もれば山となる、千里の道も一歩からである。


考えることと書くことは一体なので、どちらもおろそかにはできない。書くことは考える行為そのものでもある。書くことによって、自分が何を考えているのかが明確になり、同時に課題もわかってくる。もっと深い意味で言うと、手をつかって書くことによって、逆にその書いたものが自分自身に新しい考えやヒントを与えてくれたりもする。神秘的だがしばしば真なり。手を動かしているうちに、言語自身が自然に紡ぎ出されて組み合わさり、それがすばらしい論理に発展するという感じである。


もうこれ以上前に進めないというところが山というか難所ではあるが、その山を1つ越えるとさらに論文のクオリティが高くなり、しばらくするとまた次の山が待っているということの繰り返しである。難しい山に出くわしても、諦めずに考え抜く。この部分については別の説明のしかたがないだろうか。別の理論や論理を援用できないだろうか。このような分析をやってみたらこういった新たな発見が得られるのではないだろうか、というように、常に考えて、書きとめ、書き直すのである。考え、考え、考え抜き、極限まで考え抜いたところで、一息いれたり気分転換しているところに、ぽっとブレイクスルー・アイデアが現われることが多いのである。