業績給の価値とインフォーマティブ原理


業績給は、従業員の業績を基準に報酬を決定することを通じて、間接的に従業員の適切な努力に対して報いるという役割を果たしている。


しかしながら、業績が、従業員の努力以外の要因に左右されたり、業績測定に誤差が多かったりするならば、従業員にとっては、企業が求める努力をしたのにもかかわらず報われなかったり、反対に努力していないのにもかかわらず報われたりと、努力の度合いに対する不確実性(リスク)が高まる。


人々は通常はリスク回避的であることを考えると、上記のような誤差(リスク)の大きい業績給のインセンティブとしての価値は低い。企業としてはそれでも業績給を導入しようとするならば、高額のリスクプレミアムを従業員に支払わねばならない。逆に、従業員の努力がそのまま業績およびその業績の測定に反映され、かつ業績給に反映されるほど、業績給のインセンティブとしての価値は高い。


上記のような性質を一般化したインフォーマティブ原理とは、報酬関数を設計するうえで、エージェントによる行動の推定にともなう誤差を縮小させるような業績指標を報酬の決定に追加し、誤差を増大させるような指標を除外すると、総価値がつねに増加するという原理である。業績給を設計するうえでは重要な原理である。

インフォーマティブ原理

http://prof.mt.tama.hosei.ac.jp/~yutaka/oohashi1.pdf
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/3015/soshiki7.txt



ちなみに、業績測定が主観的である場合、雇用主としては、報酬原資を節約するために、全員の業績を低めに修正したりするモラルハザードが起きる危険性が高まる。