内的報酬(内発的動機付け)と外的報酬は併用できるか

仕事のモチベーションを高めるために外的報酬(金銭など)を用いると、仕事そのものの内発的モチベーションが低下するという説がある。人々は、仕事が面白いから熱中してやる(面白いということ自体が自分にとっての報酬)のではなく、外的報酬を目当てに仕事をやっていると自己認知することになるからだという。


だとすれば、内的報酬と外的報酬は併用することはできないのだろうか。外的報酬でモチベーションを高め、業績を高めることができるとしても、その場合は内発的動機付けの低下はあきらめることになるのだろうか。


結論から言うと、内的報酬と外的報酬を併用することは可能である。まず、仕事そのものが面白くなるように、つまり内発的モチベーションが高まるように、仕事自体の設計を工夫する。それが実現できたら、次に、その仕事がうまくいったとき、成果があがったときに、本人の実力や達成に対して賞嘆する外的報酬を設計すればよい。外的報酬は、金銭的な報酬と、認知(表彰など)を組み合わせる。そうすれば、仕事自体が面白く、頑張って成果があがったときの達成感、有能感を高めることができ、それがますます仕事を面白くするという好循環につながるのである。


外的報酬が内発的モチベーションを下げるのは、それが「自分が外的報酬によってコントロールされている。外的報酬を手に入れるために今の仕事をやらなければならない」という義務感の自己知覚につながる場合である。そのようになる事態は、工夫すれば避けることができるのである。