景気サイクル投資法

鈴木(2008)はシクリカル(cyclical)セクターの株式を利用したサイクル投資法を提唱している。これは、過去の動きが何らかの形で繰り返されるというサイクル(循環)の思想に則ったものである。


鈴木によれば、一国の経済活動はその国の人間心理の集合体でもある。株式が景気を映し出す鏡だとすれば、株式投資は人間心理を賭けの対象にしている。よって将来の景気や経済の動向を予測することは、プロのエコノミストであっても難しい。


それに対し、景気サイクル投資法では、「モノの値段」の「値動きの観察」を重視する。素材価格などのモノの値段の浮き沈みから、景気の流れを読み取るようにする。これは、景気の予測を意味するのではない。過去の景気の山谷の感覚と値動きの観察を頼りに、現在の景気の流れを読み取るのである。つまり、モノの値段を見ることにより、その変動の背後にある「目に見えない景気の動きを把握する」。景気変動の本質は循環にあることを利用するのである。


景気の流れを読み取ることによって、景気敏感株に投資する。株式投資は非常に難しいゲームなので、そこで短期的にでも勝利を収めると有頂天になってしまい、自分の技術や運の強さを過信してしまう。よって、大きく儲けることを避け、小さな利益を積み重ねることが重要である。大きな損失を出す可能性を排除するのが肝心なので、潮の流れが変わったときにはすぐに逃げ出すようにすることが大事であると鈴木は説く。