偶察力[セレンディピティ]

澤泉(2002)は、セレンディピティの訳として、偶然と察知力を組み合わせた「偶察力」を提案している。つまり、偶然と察知力がセレンディピティ(偶然からモノを見つけ出す能力)を構成する重要な要素だということである。


偶然は神秘的で魅了的である。澤泉は「偶然は神が人間にくれた最大の贈り物」だという。偶然がもたらす楽しみは、なんといっても「意外性」である。思ってもいないことが生じると繰り返しの単調さから抜け出して、通常使っていない能力を発揮する機会が生じるからである。


決まりきった社会では、人間の努力も足踏みするであろうが、可能性があるところでは、挑戦意欲も旺盛に働くことになる。これが人類の進歩をもたらしたと言って過言ではないという。


世界的に革新をもたらした発見も含め、偶然が作用した発見を眺め、共通点を抜き出すと、以下のようになるという。

  • 意図して進めた目的とは異なったところがある
  • 学識、見識、集中力、経験などのレベルが高い
  • 途中で見捨てられても不思議でない状況を通過している
  • 異なった分野の人のアドバイスを有効に活かしている
  • 偶然の機会をうまくつかんでいる
  • 成果は従来の常識をうち破る意外性を有している