勘と論理で流れを読む

榊原(2008)によれば、為替を読むような場合でも、「勘」を働かせることが必要であるという。特に為替のマーケットで潮の流れを読むには、論理的に考えてもなかなかわからないが、為替レートが変動するときには、実際にはいろいろなサインが出ており、そのサインを見たときは意識していないが、実は脳の中ではその情報をちゃんと感じ取っているときがある。それが蓄積された経験と結びつくと、勘で「潮の流れがそろそろ変わるな」という直感を促すことになるというのだ。


勘が蓄積された経験に依存するならば、経験の豊富さが条件となる。よって、勘が優れた人というのは、その道の人だということである。逆に、自分があまりよくわかっていない仕事に対して勘に頼るのはとても危険なことである。経験がいくら豊富であっても、現実に起こる問題は、常に新しいものなので、勘のすべてが正しいとはいえない。重要なことは、経験に裏付けられた勘を重視しつつも、その勘を裏付けるような論理を「考える力」によって作り出すことだといえる。


為替マーケットなどで、退却するときも、オーガナイズされた洞察力と、経験によって蓄積された勘が必要となる。タイミングと迅速さ、スピード感覚が大切である。「間違っている」と思ったらさっと引いて戦略を立て直す。ズバっと決断して、迷いを一切断ち切ってしまう。逆に、波に乗っているときには、強気で一気にいくことも大切なのだという。