研究は論理的ではない

研究論文を読めば、問題設定から理論展開というように論理的に仮説が導き出され、それを実証データを用いて検証されていることがわかる。よって、研究とは論理的に仮説を導き出してそれを検証することであると錯覚してしまう。しかし、実際の研究では、論理的に新たな発見が得られることはまれである。


要するに、発見というのはいままで知られていなかった事実をつきとめたり、現象を説明する新たな論理を思いつく(創造する)ことであるから、多くの場合それは事故的、発見的、試行錯誤的に見つかるものである。もちろん、プロの研究者ともなれば、カンが鋭くなるというか、鼻が利くようになるから、素人よりもその発見への近道が上手ではある(何か面白い発見がありそうだという勘が働く)。しかし、いったん何かが発見されれば、それは論理的であることがほとんどである。であるから、その論理を論文において丁寧に説明するというわけである。


おそらく、この世にはまだ知られていない論理とそれに基づく現象や原理が無数に存在し、それを人々に発見してもらうのを待っている状態なのである。しかし人々の側はその論理を知らないわけだから、既存の理論や論理の積み上げでそこまで到達できない。だから、試行錯誤でそれをつきとめようとするのである。