組織行動論・人的資源管理論とEBM


一般的に、企業やマネージャーは、自分の属する組織の業績と高めようと腐心し、さまざまな経営施策を施行し、日々の職場においてソフトなマネジメントテクニックを実践する。もちろん、それらの経営施策やマネジメントテクニックは、それが有効である、組織の業績を高める、と信じられているから行われるのであろう。


しかし、本当に、特定の経営施策が業績を高めるということが明らかなのであろうか。その施策の背後には、何らかの前提が含まれているはずである。例えば、「人々は、○○のような状況のもとでモチベーションが高まる。ゆえに・・・」というロジックが、経営施策やマネジメントテクニックのなかに必ず含まれているはずである。


そういった前提は正しいのだろうか。前提が正しければ、その施策を打つ価値はある。しかし、その前提が正しいかどうかわからなかったらどうだろう。あるいは、もしかしたら、その前提が間違っているかもしれない。そうであるとしたら、その施策を打つことにどれだけの価値があるのだろうか。他社もやっているから、他の会社がそれで成功したから、では理由にならないのだ。なぜ成功したのかを追求しなければならない。


そこで、一般的に、人々がどういった状況で、あるいはどういったメカニズムでモチベーションが高まるのか、どういったときに組織への愛着やコミットメントが高まるのか、組織への愛着やコミットメントは直接個人の業績や組織全体の業績の原因となるのか、という一般的な法則性や原理について、事実に照らし合わせるかたちで理解を深める必要があるのである。これが、事実(証拠)に基づくマネジメント(EBM)の基本的な考えかたなのである。


一般的に、組織における人間行動の特徴として、どのような法則や原理があるのか、それを応用した経営施策が、一般的にどれくらい企業業績などに効果があるのかといったことは、目先の企業経営や職場のマネジメントに携わってしている人々が追求することは不可能である。ここに、そういったことを研究し、知識を蓄積していく研究者の存在価値がある。実践家が、本当に効果があるのかどうか定かではない経営施策を、自身の限られた経験や勘に任せて行うのではなく、研究者が一般的な法則性や原理・原則を追求し、実践家がそういった法則性や原理・原則に裏付けられた経営施策を考案し実行することが、企業経営を健全化するには有効であると考えられるのである。