インセンティブとしての賃金

賃金が組織マネジメントにおいて果たす役割について、経済学的な視点から整理しておきましょう。

  • 賃金は、従業員から企業の目的に沿った努力を引き出すための「インセンティブ」としての役割を担う
  • 賃金が適切に設計されれば、従業員は、企業の意図するとおりに行動し、その行動に努力を振り向ける
  • ここでは、従業員が企業の意図どおりに努力すれば、それは企業業績につながると仮定されている

重要なポイントは、賃金の狙いは、従業員の「努力」を引き出すということです。また、その努力は、適切な方向に向かった行動を伴わなければなりません。適切な方向というのは、企業が、その方向に努力してくれれば本人、そして組織の業績が高まると信じている方向です。この方向を決めるのが「戦略」であり、賃金をはじめとする人事の諸機能は、この戦略を実際に実行するために人を動かす役割を担っていると考えることができるのです。