1. [mot]台湾半導体の父、受託生産を確立
モリス・チャン(張忠謀)氏 台湾積体電路製造(TSMC)会長

http://www.nikkei.co.jp/hensei/asia2005/asia/prize_jusyo.html

台湾では「モリス・チャンがいなければ、今日の台湾の半導体産業はなかった」と誰もが認める。
・・・学会で論文を発表するまで知識を高めたが、部下の解雇に抗議する形で同業の米テキサス・インスツルメンツ(TI)に移籍。米IBMからのコンピューター用トランジスタの大型発注に工場の歩留まり改善で応じるなど実績をあげ、上級副社長まで昇格した。85年に米国での職歴を終え、台湾の公的な研究機関である工業技術研究院の院長を引き受けた。「技術を経済(価値)に変える仕事を1社ではなく、台湾の産業界全体のためにしたいと感じた」。当局と二人三脚で台湾積体電路製造(TSMC)を立ち上げた。


チャン氏の最大の功績は、TSMCを通じ「ファウンドリー」と呼ぶ事業形態を根付かせたこと。ファウンドリー会社は自社ブランド品を持たず、顧客メーカーのLSI(大規模集積回路)チップ生産を代行する。
半導体工場は1カ所で1000億円規模もの建設投資が必要なうえ、製造技術も日進月歩だ。90年代初頭には、アイデアで勝負する米シリコンバレー半導体ベンチャーが、製造をTSMCに一任する形でユニークなLSIを世に問い続ける流れが出来上がった。


台湾北部の「新竹科学工業園区」などハイテクパークではTSMCにならい半導体メーカーが育ち、台湾で今や世界生産の約2割を担う。半導体で培った人材やクリーンルーム技術は90年代後半から液晶パネル産業に転用され、世界シェアで4割前後に成長した。