半導体業界の再編2


http://www.dbj.go.jp/beginners/why_dbj/about/files/arc2.doc

今後、日本の半導体産業の復活に向けた課題の一つとして、巨額の設備投資負担の問題を指摘する必要がある。半導体業界ではシリコンウェハの口径300㎜(12インチ)が主流となりつつあるが、最先端の300㎜対応工場の建設費用は2,000〜3,000億円といわれており、こうした莫大な額の開発・設備資金を1社だけで負担しきれるかどうか不透明となっている。このほか、総花的な製品構成を絞り込み、各社がそれぞれ得意分野に集中して製品の競争力を高めることも急務であり、そのための経営体制のあり方が問われている。半導体は変化のスピードが非常に速い分野であり、常に機動的な意思決定が求められることから、総合電機メーカーの一部門としての位置付けには自ずと限界が生じつつあった。


・・・情報家電分野の市場拡大により、国内半導体メーカーには追い風が吹いている。現在のリードがあるうちに業界再編を進め、財務基盤を固めて積極的な投資戦略を展開できるかどうかが、国内半導体産業の復活に向けた鍵と言えるだろう。

アナリストインサイト

http://www.semiconductorportal.com/analystinsite/sub.cfm?docid=23290

1.日本半導体株式会社 / 日本半導体EHS管理会社
9月9日の日本経済新聞一面のトップに、システムLSI 日立・東芝など共同生産 国内勢で受託会社という記事が出てから2ヶ月が経ちました。また10月26日付けの半導体産業新聞には、オールジャパン半導体ファンドリー構想は2つの流れ、いう紙面を3分の一ほど費やしたかなりの量の解説記事がでました。半導体産業新聞では、当初は国内半導体メーカ十数社連合で民間手法によるピュアファンドリーをたちあげる、というものであったが、話し合いの中で同床異夢とも言うべき各社の違いが浮き彫りになった、としています。さらに現在この流れは数社連合による独立ファンドリーを作ろうという3社中心のものと、ファンドリー構想を捨て、ビッグメーカ同士の統合も検討しながら新たな垂直統合型の新カンパニーを立ち上げる、という2つに分かれている、としています。いずれも数千億円の投資が必要となる、とも書かれています。


・・・業界再編や産業構造の改革においてまず必要なことは装置・材料メーカを含めた半導体産業の構造をどのように理想化し、どのように経営すれば世界での勝者になれるのか、ということをよく議論することだと思います。そして忘れてはいけないことは半導体とはウエハプロセスのみで成り立っているのではなく、ウエハから最終製品への実装まで完了して初めて機能する、ということです。フォトマスクについては数年前からその産業構造が変わってきていることはご存知の方が多いと思います。一方パッケージングについては世界では  Amkor, ASE, SPILといった大手サブコンを使うことが当たり前になっていますが、日本の半導体メーカの後工程の実力や信頼性はまだこうしたサブコンとは一線を画している、と言う意見もよく耳にします。どうやって競争原理を残しつつ、アメリカにも、韓国にも、中国にも、台湾にも無い、日本独自のビジネスモデルを作り上げるか、まだまだ課題は多いと思います。
膨大な設備投資を伴い、企業間の思惑が交錯しているウエハプロセスだけではなく、設計、後工程、テスティングについてもきちんと考えた再編成が必要なことはあまり議論されていないようです。また環境問題や物流については今までの各章で議論してきたように、できるだけ早く日本半導体EHS管理会社のようなものを設立し、効率化を図ることが必要だと思います。