私のリーダー論4「流れ」を読む

私が最も大切にしてきたのは野球の「流れ」です。・・・野球の神様がいて、必ず1つの試合の中で両方のチームに微笑みかける場面があるのです。微笑みかけられたときに点数を上げられるか、相手チームに「流れ」が行きかけたときに、ピシッと流れを断ち切れるか、・・・がポイントです。


ですから「流れ」が今どちらのチームにあるのかを読むことが監督にとって重要な仕事です。そして相手に「流れ」が傾き、怒涛の攻撃が始まったら、投手や野手を替えたりして、相手の「流れ」に水を差さなければなりません。・・・この感覚は実際にプレーをやった者でなければ、わからないことかもしれません。


・・・ときには「今日は敵チームに流れが行っていて、どうにも修復は難しい」と思えば、コーチや選手に気づかれないように、勝ちに淡白になるときもあります。敵チームに思う存分やらせることで、「流れ」を今日だけで断ち切ろうとするわけです。明日以降に「流れ」を持ち越さないための自衛策なのです。
星野(2004)