簡単に、単純に

平尾:ゲームの中で、向こうの流れがあり、こちらの流れもある。その中で、自らが意図的につくった流れをいかに多くしていくか。それが勝負の流れを決めていくことになると思うんです。ここで得点したら流れがくると。八十分のゲームの中で、そんな勝負のポイントが二つか三つはある。そこをいかにものにしていくかが勝負の分かれ目になる。
羽生(2004:90)

平尾:チャンスは逃さず、ピンチをどう凌ぐか、危機をいかに好機に変えるかで勝負の流れを自分のものにしていくことができるんだと思います。だから、すべてがチャンスだと思っていれば間違いない。
羽生(2004:109)

勢いのあるときには、読みがたとえ浅くても結果としていい手を選んだりしているのだ。プロ野球でも、優勝をねらっているチームは、勝負を決める場面で当たり損ねの打球がポテンヒットとなって勝利をつかむことがある。
羽生(2004:228)

将棋において羅針盤の役をするのは、直観力である。航海中に嵐に直面した。どのルート(指し手)をとればいいか。何百通りもあるルートの中から直感で二、三のルートが閃くのである。そこで海図(検証)を調べて最終的に最善のルートを決断するという順序である。具体的に頭のなかで考えるとか表現するというものではなく、「感じ」なのである。
羽生(238-239)