プリペアド・マインド

私は社員によく言うんです。「人間には運がいい人と悪い人がいるわけじゃない。運は誰にも同じようにやってくるんだぞ。その運を掴むか、掴めないかという違いがあるだけなんだ」と。


2002年にノーベル化学賞を受賞された田中耕一さんは、・・・という方法の発見を「偶然の産物だった」と述べていらっしゃいました。しかし、この「偶然」というのは、努力もしないような人に突然訪れてくれる幸運を言うのではありません。同じ実験を何度も繰り返し、たとえ失敗してもあきらめることなく、そのつど結果を検証して経験を重ねていくことによって、発見につながる「勘」が養われていった、と田中さんも言っています。それまでに大変な努力を積み重ね、準備をしていたからこそ、その「偶然」が訪れた瞬間に、「これだ!」と掴みきることができたのです。


「プリペアド・マインド」というのは、チャンスがあったら、それを掴んでやろうと、絶えず何かを待ち構えている、準備しているという意味で、それは先ほどから言っている潜在意識を持っているということでもあるんです。このマインドを持っていない人は、いくら目の前にチャンスが通っていても気づけない。だけど、プリペアしている人は、チャンスが到来したとたん、それをガッと掴む。そういう意識の違いが差になって累積して、上へ上がっていく人と、その場にとどまる人をわけていく。


山下・奥田(2005:89-90)