価格理論と労働供給

家計行動

予算制約線(価格線・収支均等線)

同額の支出になる組み合わせで、予算があるときはその線を越えられない制約。価格線の勾配は相対価格(例、Bの価格/Aの価格)である。

無差別曲線(効用関数)

好ましさが等しい組み合わせ、好ましさの等高線。右上にいくほど選択順位が高い。

消費配分、消費選択のモデル

予算制約線(収支均等線)と接する無差別曲線こそ、許される最上位の選択順位のものであるから、この接点の示す組み合わせが均衡購入量となる。

限界代替率

一方を限界的に失うかわりに欲しいと思う他方の量。無差別曲線の接線の勾配。
均衡購入点では、相対価格(予算制約線の勾配)と限界代替率が等しくなる。

所得の増大

所得が増大すれば、予算制約線が右上に移動する。結果、無差別曲線も右上に移動しより好ましいものとなり、新たな均衡購入点が決まる。エンゲル線とは、総支出に占める特定の財の割合が、このような所得の変動でどう代わるかを示す線である(例、エンゲル係数)。

価格の上昇

価格が上昇すれば、予算制約線が左下に移動する。結果、無差別曲線も左下に移動せざるを得なくなり、好ましくない方向に変わる。

需要曲線

価格と需要の関係を示す需要曲線は、価格が上昇すれば、無差別曲線が左下に移る効果によって購入量が減るとすれば、右下がりになる。一般的には需要曲線は右下がりである(所得効果が強い場合)。

所得効果と代替効果

特定の財の価格上昇の効果は、実質的な所得が変動するという意味での所得効果と、組み合わせの相対価格が変化することによる代替効果に分解できる。所得効果が負でも代替効果が正である場合もある(他方の価格が上昇することにより相対的に割安になることから、購入量の増加要因となり、負の所得効果と打ち消しあう)。

労働供給曲線

余暇(不労)と所得の関係

余暇(不労)時間と所得との関係でも無差別曲線が描ける。その際に、賃金(賃率)は、予算制約線を決める。賃金が上昇すれば、無差別曲線は右上に移動し、好ましいものとなる。無差別曲線と賃率に規定される制約線の接点が、均衡の労働時間と所得の組み合わせとなる。

労働供給曲線

賃率が変動するに従い、均衡点における労働量がどう変化するかの関係を示すのが、労働供給曲線となる。労働量は、労働時間という捕らえ方も、人数という捕らえ方もできる。

代替効果と所得効果

低賃金の時は一般的に代替効果が強く、賃金上昇によって余暇消費が相対的に割高になるため、余暇消費が減り労働時間が増える。しかし高賃金になってくると、所得効果が強くなることにより、余暇消費も増え、労働時間が減る。

参考(後方屈曲的労働供給曲線)

http://d.hatena.ne.jp/tomsekiguchi/20050330