均等法の問題点

ウィキペディアより
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%87%E7%94%A8%E3%81%AE%E5%88%86%E9%87%8E%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%94%B7%E5%A5%B3%E3%81%AE%E5%9D%87%E7%AD%89%E3%81%AA%E6%A9%9F%E4%BC%9A%E5%8F%8A%E3%81%B3%E5%BE%85%E9%81%87%E3%81%AE%E7%A2%BA%E4%BF%9D%E7%AD%89%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B

* 労働者派遣の男性登録スタッフの場合、女性就業が多く頭脳をほとんど使わない事務職や受付などは、男性であることを理由に採用を拒否される例が多い。

2006年、拒否された男性が複数の派遣会社相手に損害賠償請求の訴訟を起こし、全面的に非を認めて満額支払った派遣会社と、一部非を認めて和解に応じた派遣会社とがある。ただし、賠償請求が認められたり、和解に至るのは非常に稀なケースである。なぜなら、この場合民法上の不法行為での損害賠償になるが、その構成要件として因果関係(○○したから△△になった、という経過)が存在することが非常に重要であり、またその損害の算定が金銭に換算するには非常に難しいことが挙げられる。しかも裁判では、使用者側が契約締結の自由を根拠に反論することも予想される。

1999年の改正で「男性のみ」「女性のみ」の求人募集が禁止された。しかし、

* 求職者が閲覧するハローワークの求人票には無記載でも、職員が管理するデータには「女性が望ましい」などと書いている
* 面接を申し込んだ段階で男性(女性)のみしか募集していないと断る
* 実際に面接をしても男性(女性)を意図的に不採用にする

といった人道的に非常に問題のある対応をする企業が大半である。求職者側からしてみれば、「どうせ落とすなら、最初から募集しないでくれ(男女どちらが必要かいってくれ)」と思っている者も少なくないが、志望する企業のデータにおける男女比で女性が異常に多い場合や、先述したように求人職種で頭脳を使わない単純作業やパソコンインストラクターであれば女性のみの求人であると考えてまず間違いはない。
ちなみに国家機関たる社会保険事務局でさえ「データ入力作業は女性のみ」としているのであるから、民間企業の実態はいうまでもないであろう。

男女雇用機会均等法は立法措置である一方、その運用にあたる司法で、男女雇用機会均等法の精神を適切に反映した実務が行われていないという批判がある。
そもそも、男女雇用機会均等法積極的差別解消措置であるクォータ制などを設けず、概して企業の努力義務を述べるにとどまっているのは、雇用の分野において女性差別があるとしても、女性労働者の多様性を理由に、立法措置ではなく個別問題として必要ならば司法の場で是正すべきだという議論があるからである。しかしながら、裁判官のジェンダーバイアスの存在により、司法においての女性差別解消も有効に働いていないとされている。
すなわち、日本の裁判所こそが男社会の最たるものであり、歴代の最高裁判所判事経験者には女性は2名しかおらず、しかも官僚出身ではなく裁判官・弁護士を含む法曹三者から最高裁判所判事になった女性はこれまで一人もいない。また、現在、東京高等裁判所は、民事部・刑事部合わせて36部を有するが、女性の部総括(裁判長裁判官)は一人もいない。
裁判所ですらこのような状況下では、とりわけ事実認定より価値判断が先行しがちな都市部の裁判所において、特に女性の労働事件(人事処遇や解雇)が適切に処理されているか疑問であり、男性管理職の視点からの価値判断に偏り、女性労働者の立場に対して十分な配慮がなされていないとする意見が弁護士会などからも指摘されている。立法と司法は表裏一体の関係にあるのだから、立法側からは具体的な差別解消は司法に委ねるべき、司法側からは雇用主には広範囲な裁量権があるから立法措置により改善をはかるべき、と責任を押し付けあうだけでは問題である。