組織の経済学のメルマガ3

昇進トーナメント
http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/mare/mare074.html#02

トーナメント方式はまた、企業の経営者が「業績給をケチる」ような恐れがある場合にも役立つ。業績を上げたものを昇進させないと有能な社員が流出する恐れがでてくるし、そう言うことがハッキリすると、従業員を積極的に仕事に向かわせる動機付けができないからである(→不完全なコミットメント)。だから、業績給をケチる経営者であっても昇進システムは避けて通れない。


トーナメントが「順位」に依存し必ずしも「高業績」によって決められるモノではないので、従業員みんなが手を抜いて働いても褒賞にありつけてしまうという問題である。「お役所仕事」なんていう言葉もあるが、仕事を適当に手を抜いて
行っても順番によって昇進が可能なら、従業員はさほど働かない。そしてまた順位で昇進が決まるのなら、まじめに働いて高い業績を上げるよりも、ライバルを妨害して蹴落とす方が楽な場合も生じてくる。


職務配置とテニュア
http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/mare/mare075.html

テニュアは「能力の低下した年輩者が、有能な人材を採用すると自らの地位や
職を失うことを恐れて自分より凡庸な人材を選んで採用しようとするインセンティブを弱めるための方法の一つ」である。もちろん長期間に渡って業績を上げ続けた人材に対し、将来の業績も高い水準であるという予想のもとにテニュアを設定するのではある。


正教授の半分の給与しかもらっていないのになぜ助教授が正教授と同様に働くかと言えば、それは「将来正教授になりテニュアを得る」という昇進インセンティブが存在するからである。しかし、もし研究者が給与水準の格差に気づき、昇進を諦めたら懸命に仕事をしないということも当然起こる。それでは大学もテニュアを持つ者もレントを受け取ることができないから、それを防ぐために「アップ・オア・アウト・ルール」を設定し「昇進できなければクビ」という制度が採用されるのである。

内部労働市場のまとめ
http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/mare/mare075.html#01