経済学と経営学の違いは何か
経営学=分野で定義
経営現象←経済学・心理学・社会学・政治学 etc.
経済学=思考様式・方法論
目的合理性を仮定
自己の利益を最大化(経済人)
経済学の3つの柱
1. 価格理論(収穫逓減の法則)(代替効果と所得効果)代替効果:余暇と労働の相対価値が変化
2. ゲーム理論
3. 契約理論
価格理論=自己利益を追求する売り手と買い手が自由に市場で取引する→市場均衡点において望ましい状態→自由放任主義
ゲーム理論=特定の利益構造において複数のプレーヤーが自己の利益を最大化させようと行動する状況の分析
契約理論
なぜ組織が必要なのか
市場は必ずしも効率的ではないから=市場の失敗←情報の非対称性→コストをかける=取引コスト
シグナリングとスクリーニング
レモンの市場
逆選択
取引コストを低減するために組織がある
エージェンシー問題
依頼人−代理人問題
株主とサラリーマン経営者
エージェンシー理論
インセンティブ設計
人件費と労務費は違う概念である!
その人の生産性に左右される。
生産性とコストの比率で見なければならない
限界収益=限界コストのところで利益が最大化する
B社は今年の新規学卒採用枠を2名に設定した。しかし、実際に募集してみると応募者が多数あり、選考を行なった結果、能力的に甲乙つけ難い人材が4名いることがわかった。その4名よりは能力的に劣るが、それでも魅力的な人材がさらに4名いた。残りの応募者はB社にとって必要のない人材だと判断された。しかし、採用枠が2名なので、ほとんどくじ引きのような決断で2名のみを採用することにした。
限界コスト=限界収入となるところまで採用し続けるべきである。
C社の採用選考の最終候補者として、対照的な2人が残った。X氏は、安定的に年間2000万円を稼ぐことのできる人材である。Y氏の業績予想は不確実で、50%の確率で、年間5000万円の利益を稼ぎ続ける可能性があるが、残り50%の確率で年間1000万円の損失を出し続ける可能性のあるリスキーな人物である。C社としては、どちらを採用するのが合理的なのだろうか。
あなたはプロダクションのスカウトで、将来のアイドル・スターの卵を探すため、街を歩く少女をスカウトしている。容姿も性格も強烈で、まったく世間に受けない可能性もあるし、それによってもしかしたらプロダクションの信用を失う可能性もあるが、もしかしたら大化けして大スターになるかもしれない何かをもっている少女と、容姿も性格も並で、大化けはしないがそこそこコンスタントに何かの仕事がこなせそうな無難な少女と、どちらをスカウトするか。
期待値と給料が同じ2人の労働者がいるとするならば、リスクの大きい労働者を採用するべきなのである。なぜなら、ダウンサイドリスクが顕在化した時点でその労働者との雇用関係を解消すればよいからである。
従業員の生産性がわかるのに要する時間が短ければ短いほど、リスキーな労働者の価値は高い
労働者が若ければ若いほど、リスキーな労働者を雇う価値は高い
A社の人事部門は、今年度の採用の方法について考えていた。目標は明確で、いかにして自社にとって必要な人材(費用対効果から見て有能な人材)を採用できるかである。そのためには、募集活動をして、有能な人材に自社を受けてもらわなければならない。
募集案内をするにしても、どうすれば、自社にとって必要な人材だけが応募し、そうでない人材が応募してこないようになるのだろうか。そうすれば、少数でも質の高い応募者が獲得でき、そこから選考をすれば、選考コストもそれほどかからない。
応募に当たっての資格要件を付する
資格取得能力と職務業績との相関
資格のある労働者とそうでない労働者の賃金格差が大きくない(大きくないということは、それでも資格を取得する人材の能力が高いことが示唆される。大きいと、無理してでも頑張って資格をとろうとする人がでてくる)
必要とする人材にとっては資格取得が易しく、そうでない人材にとっては資格取得が難しい。
不確定契約
- 出来高払い
- 仮採用
C社は中小企業であるが、事業も成長を続け、毎年採用する新卒枠に対する応募者も増えてきた。最初の頃は、そもそも応募してくる学生が少なかったので、よっぽどのことがなければ採用を決定していた。しかし、知名度も上がって応募者が増えてくると、その中からもっとも望ましい人々を採用する必要がある。しかし、近年、自社独自で選考をやっているのだが、どうも採用する前によいと思った人材が、入社後に期待はずれになってしまうことがしばしばあることに気がついた。人材の採用は非常に高い買い物である。そこで、採用コンサルティングの会社に相談した。採用コンサルティング会社には、採用・選考に関するノウハウがある。しかし、選考の精度を高めようとすればするほど、コストがかかる。では、C社は、選考の精度をコストを支払って行なうべきであるか。そうであるとすれば、どれくらいまでコストをかけるべきであるか。
応募者の選別は、それに伴うコストが小さいほど大きな利益をもたらす
応募者の選別は、その結果として大勢の応募者が不採用になるほど大きな利益をもたらす
選別の対象となる労働者を雇用した場合に生じる費用(損失)が大きいほど、応募者を選別することは大きな利益をもたらす。
新規学卒一括採用は、わが国の人事制度を特徴付けるやり方のひとつである。一括採用の場合、応募の段階、もしくは選考の段階では、どの部署のどのようなポジションに応募しているというわけではなく、総合職とか一般職といった、ぼんやりとしたくくりの中で応募しており、最終的に入社して配属されるまで、どの部署でどの仕事をやることになるかわからないことが多い。
また、日本では、大学で勉強する内容と、企業に入社してからこなす仕事との関係が薄い。そのような状態では、企業としても、採用選考をしただけでは、本人がどの仕事に最も適しているかを判断するには早すぎる。では、いったいどのように配属先を決めるのだろうか。
仮に、新卒新入社員30人の配属先として、営業と経理の2つがあり、それぞれ定員が半分ずつであるとしよう。新人なので、それぞれの適性はまだはっきりしない。この場合、それぞれについて、営業と経理とどちらが得意なのかを把握し、得意な方に配属すればよいのか。しかし、その場合、適性を把握するにはコストがかかることも考慮しておくべきである。それだけのコストをかける意義はあるのか。どうやって、適性把握コストを正当化するのか。また、例えば30人中20人が経理よりも営業のほうが得意であるということがわかった場合、どうすればよいのか。
選別のコストをどこから差し引くか
社員の給料から差し引く
選別のコストを給与から差し引くとする場合、選別された後の給料から差し引くとするならば、コストを差し引かない給与で別の会社が引き抜くことができる。つまり、別の会社は、自分は選別コストを支払わないで、元の会社に選別のコストをかけさせといて、タダで選ばれた人材を手に入れることができるので得をする。元の会社は、選別コストを差し引こうとしていた人材に逃げられ、損をする。
選別のコストは、選別される前の、例えば初任給の状態で差し引けばよい。つまり、相場の給料よりやや低い給与で採用すればよい。いったん、人材が選別されたら、それに見合った給料を喜んで支払うことにする。労働者は、企業の選別を受けることによって「選別されたという証明書」をお金で買うような形になる。いったん、その証明書を手に入れれば、それに見合った額の給料のもとで他社で働くことが可能になるのだから、労働者にとっても損はないからである。よって、選別で勝ち残る自信のある労働者は、初任給が相場よりもやや低かったとしても、その会社に応募、入社するだろう。
全く同じビジネスで、同じ商品を扱うA社とB社がある。唯一の違いは、両者の給与の仕組みである。営業職の社員の給与に関して、A社は固定給である。B社は歩合給である。つまり、A社は業績に関わらず給与は安定している。B社は業績がよければ給与はあがり、悪ければ給与は下がる。
仮に、A社とB社の移動は自由にできるものとすると、どのタイプの労働者がA社に、どのタイプの労働者がB社に移動するようになるか。そして、その結果、A社とB社を比べた場合、どちらがよい業績をあげることができるか。
ケース:タクシー運転手の給与
タクシー会社が、車を貸与し、ドライバーがガソリン代を負担する。売り上げの100%がドライバーの手に渡る。
タクシーのレンタル料を低く設定する代わりに、歩合を50%とする(売り上げを会社とドライバーで折半する)
製品の粗利が10%の時に、売り上げの10%を営業職の歩合給とする。ただし、営業職は、固定費用として営業権もしくはオフィス賃借料を会社に前もって支払う。
10%の代わりに、8%に歩合給を落として、企業利益の増大を狙う。
10%の代わりに、11%の歩合として、営業職のモチベーションアップを図る。
どうも大学になじめない2年生の学生が、中退してすぐに社会人として就職するべきか、とりあえず4年まで通学して卒業してから就職するべきか悩んでいる。
l 学費
l 利子率
l 年齢
l 学校の質
A社の人事部は、社員教育についての真剣な議論を続けていた。論点は、今以上に研修予算をとって、社員教育を充実させるべきかどうかというものである。
企業業績を高めるためには、社員の能力が向上し、適切な人件費で実力を発揮してもらう可能性がある。よって、能力を向上させるには、教育投資は欠かせない。
しかし一方で、企業が一生懸命社員に教育しても、その社員がライバル会社に引き抜かれたりしたら、その社員に投資した教育費用が水の泡と化してしまう。つまり、投資を回収するまえに、社員に辞められてしまう可能性があるということだ。それだけではない、その社員を引き抜いたライバル企業は、自分は教育投資をすることなく、すでに投資をされた能力ある社員を獲得することができてしまい、当社の教育投資の回収分を横取りされてしまう。。
だとすれば、教育投資をした能力ある社員をやめさせない工夫が必要となる。そのために、より高い給料を与えたり福利厚生を充実させたりして、社員が自社を去ろうとするインセンティブをなくそうとするならば、それは企業にとってコスト増につながる。せっかく教育投資をして企業収益をあげても、人材を引き止めるためのコスト増によってその効果が打ち消されてしまったら意味がない。しかも、人材引きとめ策の強化が、実際にはやめてほしい人材まで自社に居残る結果につながり、企業業績に悪影響を及ぼす可能性もある。
一般教育訓練の場合、誰が教育を受けるかという問題は極めて単純である。訓練を希望し、喜んでその費用を負担しようと思う人は誰でも、訓練を受けることが可能であり、またそうするであろう。企業にとっては、実際の生産性以上の賃金を支払わないかぎり、生産的な労働者であろうが非生産的な労働者であろうがかまわない(利益の影響を受けない)。
職場訓練が一般的な場合、労働者は低賃金というかたちで費用を負担しなければならないが、希望するものには誰でも機会が与えられるべきである。
はじめのうちは低賃金というかたちでコストを支払っても訓練してくれそうな仕事を選ぼうとうする可能性の高い労働者は、若年労働者と労働市場に長期間とどまろうとする人である。
つまり、どこでも役立つ一般的な技能は、労働者が自分自身で投資し、その投資を自分自身で回収する。訓練後はたらく期間が長ければ投資回収期間が長く、リターンが高いことを示唆するし、金利が高ければ、現在価値が低くなるので投資の魅力度が低まることと
l 経済的価値
l 希少性
l 非代替性
l 模倣困難性
わが国では、よい大学に入れればよい会社に就職でき、将来安泰といった風潮があった。そのため、受験戦争は熾烈になり、大学を目指す高校生は、よい大学に入るために塾や予備校にも通いながら一生懸命勉強した。ところが、大学にはいるととたんに勉強しなくなった。大学はレジャーランド化した。
企業は企業で、大学には多くを期待していなかった。むしろ、教育は新卒で入社させてから自前で行なうのが普通だった。だから、大学でどの学科で何を学んだか、学生が見につけた知識やスキルと会社の職務との適合性はあまり考慮しなかった。
では、大学はいったい、学生の能力開発に何の役割を果たしているのだろうか。少なくとも、社会人として仕事を遂行していくうえに必要な知識やスキルを身につけるという視点では、何も貢献をしていないのではないだろうか。そもそも大学生は、中高のときほど熱心に勉強しなくなり、まじめに講義に出席しない学生もいる。そういった学生は、何のための高額な授業料を大学に支払っているのだろうか。そうであれば大学は労せずして授業料を手に入れることができる。普通のビジネスであれば、顧客に何もせずに代金だけ受け取れるオイシイ商売ということになる。なぜそのような関係が成り立ってきたのか。
最近の就活では、学生側の意識として、学生の間に就職に有利となる資格をとっておきたいという傾向がある。それでは、資格を取ることが就職や給料に有利に働くとしても、資格を取得することが、入社後の仕事をうまくすすめるわけではないことも考えられる。そんな状態でも、資格をとることに意味はあるのだろうか。
誰を対象にどのように退職手当(割り増し金)を産出すべきか。
企業の業績低下により、人材に含み損が生じている場合、その人材群に自発的に退職してもらうよう促すために適切な額
ある人材が定年までにもらう賃金総額の現在価値が、本人が定年までに生産する総額の現在価値をうわまわっているとき、人材に含み損が生じている。
代替物(会社を辞めたときによそでもらえる賃金など)の定年までの総額の現在価値
現在は、賃金総額が代替物総額を上回っているから会社にとどまっている。代替物総額(現在価値)+退職割増金>賃金総額(現在価値)となれば、その人材は自発的に退職する。条件としては、代替物総額が、本人の定年までの生産額(現在価値)を上回っていなければならない。
企業特殊的人的資本を持っている人材に対しては、退職割増金による退職勧奨が実現しにくい。
A社は、新卒採用を一切しない。ほとんどの人材を中途採用、しかも、他社からの引き抜きによって調達している。すでに他社で活躍している人材を見つけ出し、彼らにより魅力的な条件を提示して引き抜いてくるのである。引き抜こうとする人材は、すでに実績もあり、能力も確かで、A社にとって採用を失敗するリスクが少ない。もし新卒採用を中心に採用していたならば、筆記や面接では見抜けない優秀な人材をみすみす採用しそこなう可能性もあるし、逆にとんでもない学生を誤って採用してしまう可能性もある。採用して働かせて見ないと、本当に優秀なのか、実績をあげるのかわからない場合があるのである。
同業を営むA社とB社がある。新卒初任給は、A社がB社よりもかなり高い。A社が25万円なのに、B社は15万円だ。しかし、なぜかB社のほうが人気が高い。なぜだろうか。それは、昇進と賃金のからくりに原因がありそうだ。A社は、初任給こそ高いが、その後の賃金の上昇はなだらかである。昇進してランクがあがっても、昇給額はそれほどでもない。一方、B社の場合は、初任給は低いが、何年かのちに昇進のチャンスがあり、昇進できると年収が大幅にアップする。入社後10年くらいたつと、順調に昇進していったB社の社員は、平均的なA社の年収の1.5倍もあるのである。
絶対成果と相対成果
トーナメント型は相対成果が適用できる
相対成果は絶対成果よりも容易で測定が低コストである。
相対報酬は、運の要素を排除してくれる(絶対評価だと、外部環境が悪化することにより全員が報酬の切り下げを余儀なくされることもある)
評価する監督者の主観が報酬決定に与える影響を低減することができる(定数を昇進させることにしておくなど)
トーナメント方の相対報酬では、勝者の報酬を分け合うというかたちで社員が共謀する可能性もある
社員同士が相手を邪魔したり非協力的な関係になる危険性がある。
昇進の決定に要する時間が長いほど、最も有能な人が昇進を勝ち取る可能性が強まる。逆に、最も有能な人は、昇進待ちのために、たいしたことのない仕事によって時間を浪費することになる。
相対比較によって昇進させる企業では、階段が多いほど、トップの人とボトムの人との能力格差は大きい。
http://d.hatena.ne.jp/tomsekiguchi/
来週のゲストスピーカー:
みずほ総合研究所
上席主任コンサルタント 角田昌弘氏
努力→結果→報酬
(努力→結果の期待)×(結果→報酬の期待)×(報酬の魅力)=努力の量
(1)仕事への努力→昇進→昇給
(2)政治(非協力)の努力→昇進→昇給
(1)は健全であるが、(2)は会社にとってマイナス
ハト派(協力的な性格の人材)
タカ派(非協力的、攻撃的な人材)
賃金格差を調整する (タカ派に関しては、昇進に伴う昇給額を抑制する)
競争のやり方をいろいろ変えてみる
攻撃的なタイプと協調的なタイプを別々のグループにまとめる
協調が重要な環境では、賃金スプレッドを小さくすべきである
従業員はできるだけ性格別にわけるべきである
従業員同士の協調性が重要ではない場合にだけ、その人同士を直接競争させるべきである。
異なるチームに属する人材同士を競争させるスキームが効果がある。AチームとBチームがあるとすれば、お互いに職務上の相互依存のないAチームのX氏とBチームのY氏を競争させる。
チームメンバー間の競争をさけ、協同を促すために、
チーム単位での報酬の設定が考えられる。ただし、これにはフリーライディングの問題が生じる。
トーナメント型などの相対報酬において、政治的行動を行なう従業員が多い場合、トーナメントの勝者は、より政治的手腕に優れている(他人の足をとる、非協力的行動をする)可能性が高い。
その場合、トップの近くまで昇進したものは、競争的・非協力的な人々である公算が高いので、競争・非協力インセンティブを高めるような相対基準ではなく、絶対基準による報酬がよい。また、協調を促すインセンティブも必要となる。
生活費保障仮説
人的資本仮説
若年時には、一般的もしくは企業特殊的人的資本への投資が伴うが、その全部もしくは一部を労働者が負担するため、生産性に応じた賃金から投資分は差し引かれる
年齢を重ねるにしたがって、投資効果が現われ、生産性そのものが上昇する(賃金の年功序列的上昇要因)、および人的資本への投資も減ってくるため、その分、賃金が年功序列的に上昇する。
インセンティブ仮説
労働者出資仮説
マッチングモデル
若年時には、本人にとってどの仕事がもっとも実力を発揮し、生産性を向上できるかわからない。したがって、平均的には若年時ほど人と仕事のマッチングが弱く、それが生産性低下要因である。またジョブローテーションなどのマッチングの試みが生産性を低める。勤続年数が増加するにしがたって、マッチングがうまくいくようになり、本人にとってもっとも適した仕事が見つかるようになり、それが生産性上昇要因となる。よって平均的にも賃金が高くなる。
ねずみ講仮説
年功序列の仕組みは、若年労働者から賃金の一部を吸い取り、比較的数の少ない中高年層がその部分を頂くというねずみ講的なシステムであると解釈する。社員人口が適切なピラミッド構造になっていることが存続の前提となる。