組織経済学のメルマガ2

動機付けの重要性と契約の不完備性
http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/mare/mare031.html

人間は自己の利益を最大化するように動機付けられるとするならば、それはしばしば組織の目的と整合しない。よって、組織の目的を達成するために人々を動かすためのインセンティブの問題が生じる。組織は成員と契約を結ぶことによってインセンティブ設計をするわけだが、契約は常に不完全である。


ホールドアップ問題とコミットメントの達成
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雇用・日本の人的資源政策
http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/mare/mare072.html

組織内部の労働市場
http://www.asahi-net.or.jp/~GA2A-MYZK/mare/mare073.html

内部労働市場では従業員の能力や効率に応じて賃金が支払われるのではなく、割り当てられた仕事内容(職種)によって報酬が決まる...つまり内部労働市場では、命令系統の上下関係によって構築される「任務ヒエラルキー」と、報酬の多い少ないによって構築される「報酬ヒエラルキー」という二つのヒエラルキーが存在する場合があって、たとえば日本の人事部はそれを勘案することでジョブ・ローテーション(何年か毎に部署や担当が変わっていく)を上手く組んでいたのである。


内部労働市場が生じるような組織では、長期的用が大きな意味を持つ。というのも長期雇用を前提とすると、企業特殊的人的資本への投資が有利となる場合が多いからである。


長期雇用の利点・その2は、長期雇用であれば効率性賃金の効果が高まるということである。長期的雇用を前提とすると、従業員は長期的な視点によって現在
のポジションを評価することになる。「今は給料も安いし権限も何もないが、何年かたったら給料も少しはあがるだろうし権限も持つことができるだろう」そう考えて働くことになる。だから従業員は現在今もらっている報酬に加え、将来受け取る報酬(あるいはレント)に対する期待をも受け取ることができる。短期の業績向上インセンティブは弱まり、長期にわたる好成績を求めるインセンティブが強まる。


内部労働市場が生じるような組織で長期的雇用が効率的である三つ目の理由は、
「長期に渡って業績をモニターできるので、長期目標への従業員の貢献度を正確に評価することが可能になる」ということである。


昇進は組織の中の有能な人物を、適した仕事に就けるための配置法の一つである。昇進政策の持つもう一つの機能は、「昇進が従業員を組織のために働かせるインセンティブになる」ということである。