ピーターの法則は、以下の異なる解釈が可能である。
- 適材適所が行なわれない。職務配置に歪がでる。
- 昇進基準が緩すぎて、本来昇進するべきでない人が昇進してしまう。
- 選抜がうまくいかず、昇進すべきでない人が昇進し、昇進すべき人が昇進できない。
- 昇進すべき人は、すぐ下位の仕事には向いていないかもしれない。すぐ下位の仕事に向いている人は、業績も良く昇進の対象になるが、昇進後の仕事に向いていないかもしれない。だから結局、現在の仕事に向いていない(業績の悪い人、けれども昇進させたら業績をあげそうな人)が残り、現在の仕事に向いている人(昇進後の仕事には向いていない人)が昇進してしまう。
- 昇進競争では、ライバルを蹴落とすインセンティブが働く。優秀な人間ほど、攻撃を受ける頻度が高まり、つまり出る杭は打たれるために、結果的に昇進できない。能力があまり高くないがために、攻撃されなかった人間が昇進する。
- 昇進後には努力のインセンティブが失われる。
- 人はトーナメントで勝つところまで昇進する。もうこの上には上がれないというところまで昇進する。トーナメントで一定のところまで勝ち進み、賞金を獲得した後ではインセンティブが失われる。次の賞金を獲得することは不可能だと感じているから、努力する意味がない。
参考文献
インセンティブ設計の経済学
伊藤 秀史 (著), 小佐野 広 (著)