変化の学「易理」

易理は、陰陽相対*1の理法とこれによる生成発展によって、絶えざる進歩・向上を説く。陰陽相対を調和して、進歩・向上に導いていく作用を中という。つまり、中とは、一見矛盾するものを統一し、いちだんと発展せしめることである。易は、陰陽相対の理法に基づいて限りなく中をおし進めていく創造変化のダイナミックな学問である。人体から社会、宇宙に至るまで万物が生成発展する。易理ですべての矛盾は解決し、世界の動きなどもはっきりと会得することができる。


陽は活動であり、外に向かって分化発展し、顕現する。しかし分化すればするほど、尖端化、抹消化し、根幹の力が弱っていく。つまり、陽は陽に偏するにしたがって、創造力・変化力を失い、生命力が稀薄になり、繁栄は混乱に変わり、分裂は破滅になる。すなわち、疲労し、混乱し、生命力が稀薄になり、破滅していく。


陰は、動に対する静、外に向かって発展することに対し、内における潜在、分化に即する統一の動きである。陰は、分化を統一して全体を構成し、含蓄し、全体性、永続性を持続させる。陰が陰に偏すると分化せず、繁栄・発展せず、萎縮し、固定する。固定すると死滅する。


物事を「分かろう」とする理知は陽であり、物事を「結び付けよう」とする感情・情操は陰である。理知と情操の調和が良い人格につながる。


参考文献

安岡正篤―人生は難題克服に味がある

安岡正篤―人生は難題克服に味がある




*1:すべては相い対立しつつ、相い協和している。つまり相対であると同時に相待であることから、陰陽相待とも書く