経営戦略を考える際には、まず船を置く位置を見定める

土井(2023)は、経営者や事業リーダーが戦略を考える際に行うべきことは、外部環境という川の流れを読み、どこに自分たちの船を置けばスーッと前に進んでいくのか、その適切な場所を見定めることだという。川の流れが速すぎるところに船を置くと、船に負担がかかって壊れてしまう可能性があるし、逆に澱みがあるところに船を置いてしまうと、いくら全員で力を合わせても、船が前に進まないという事態になるというわけである。

 

そして、土井によれば、船を置く適切な場所を見定めるのに有効なのが、時代の流れを読む「時代分析」という手法である。この手法では、まず、過去、最近を振り返り、時代がどのように流れてきたのか、自社は何に流され今の場所にたどり着いたか、自社の強み・弱みは何かなどを把握する。次にこれから5年くらいを視野に入れた時、世の中はどう変わるか、もしそう変わるとすれば顧客にはどのような変化が生じるか、顧客がそのように変化するとすれば、競合他社はどのような手を打ってくるか、あるいはどのような新規参入企業が考えられるかを予測する。

 

そのような考察に基づいて複数の可能性を視野に入れて未来を洞察し、その上でパーパスやビジョンを踏まえて、会社全体としてどのような事業ポートフォリオを組むのかを決定するのだと土井は説く。

参考文献

土井哲 2023「成果を出す企業に変わる 組織能力開発」幻冬舎