モノづくりと流れ

職人の技は、宇宙ロケットの精密部品などハイテク分野の現場にも活かされています。いかに最先端の技術でも、最後の仕上げ段階では職人の技が求められるのです。職人には、「よい製品を仕上げることができるのは自分の力ではない。何か別の大きな力が自分を導くからだ」という「他力」の発想があります。これはまさしく「大自然の知に学び、自然の力をいただきながら暮らす」という東洋の思想に通じる考え方といえましょう(常盤 2004:5)。

コメント

職人や武道・芸道の達人、囲碁将棋の名人などは、いわゆる「型」「定石」とか正座とか、精神のみならず、体を使うことも伴う「長年の修行」によって、ある意味、悟りの見地に至る。そういった精神状態に至れることこそが、達人・名人の特徴であり、上記の記述にあるような「他力」を感じ、利用することができるということなのだろうか。

R&Dは、川上から川下までの流れをすべて視野に入れてやっていくべき仕事だ。それを研究の部分だけを取り出してやっていこうとするから、いつの間にか視野が狭くなってしまうのである。もっといえば、R&Dは経営そのものであり、自分たちのつくる製品の川上から川下まで流れが全部見えていなければならない。技術を流れでとらえつづけることが大切なのである。


もし、その流れがスムーズでないとすれば、必ずどこかに淀みがあるのだ。そのときは、すぶさまその部分を見つけ出し、対策を講じなければならない(常盤 2004:56-57)。