空気[流れ]に乗らず、空気[流れ]を創る

堀(2008)は「一流の人は空気を読まない」という著書の中で、空気を読む・読まないといった議論を展開しているが、空気を「流れ」に置き換えても成り立つ議論である。


堀は、「成功者」「時代を変えていけるリーダー」は、空気読みの達人ではなく、「いまの空気はどんなものか」と読んでいながらも、その空気には乗らずに「新しい空気を創っていける人」だという。空気に乗り続けていることだけで得られるのは、小さな成功とも言えない、無難な人生だけであり、けっしてその域を超えられないという。


そもそも、身の回りに漂っている空気とは、あくまで現在の空気に過ぎず、次の時代には次の空気が流れていくものだからである。現状の空気を読み、それに乗るだけでは、無難に漂っているだけの人生になってしまう。むしろ、次の時代の次の空気を創っていければ、自分自身がその時代の空気をリードすることができる。つまり、流れに乗るだけでなく、次の時代にむけた流れを創って行くことが大切なのである。


空気は創るものであり、空気を創り出せる人間にならない限りは、先が知れていると堀は言うが、空気を創れる人とは、周囲の気持ちを動かせる人でもある。また、クリエイティビティやイマジネーションを発揮できる人は、周囲の空気を読めるし、人の気持ちを察することもできるが、その空気に同調することだけを選ばず、同調しない部分でこそクリエイティビティやイマジネーションを発揮できることを知っている。だからこそ、一番手になれるのだという。