主張型文章の「型」

いわゆる論文のほとんどは、主張型文章である。吉岡(2013)は、主張型文章は、問題に対する解決(=意見文)だという。意見文であるからには、読む人に「なるほど」と納得してもらう必要があるという。吉岡は、主張型文章の基本構造は、「問題+解決+根拠」だと説く。


吉岡によれば、問題には4つの型がある。「疑問・対立・矛盾」である。こういった問題意識は、困った状況を積極的に探し出すスキルを磨くことによって設定するのが上手になることを示唆する。例えば、見過ごされている問題に注意を向ける、読者と共有できる問題を見つけ、その重大性を示す、解決に持ちこむためのほどよい大きさの問題を設定する、などのことができるスキルである。


そして、問題提議の直後に、疑問・対立・矛盾に対して「こうすれば解決する」という結論を出す。簡単明瞭な解決にならない場合、すべて解決できない場合には「どこまで解決できたか、どこからがまだ問題か」を示す。解決の後には根拠を述べる。これは「理由・説明・例示」を準備して、読者からのツッコミにあらかじめ対処することである。根拠は、主張を「妥当なもの」と説得するための材料である。


また、主張型文章を分かりやすいものにするには、論理をきちんと組み立てることが重要だと吉岡はいう。論理はいくつかの記号の組み合わせの規則にすぎない。その規則を使って、最初の前提を言い換え、結論を導く。変形していく途中で新しい情報が入ってはいけない。それが保証されているときに「論理的」だというのであり、最初にいったことを、途中でも最後でも繰り返しているだけである。よって「論理的」であるためには、最初の前提を論理の規則だけでどんどん言い換えていくということなのだと吉岡は説明する。


主張型文章の最後の結論は、解決策の繰り返しである。新しい内容を書いてはいけない。これまでの主張の表現を少し変えたりする。最後に残された問題を指摘しておく。