運をコントロールする

澤田(2012)は、人生の90%以上は運に左右されているいってもよいくらいで、運はとても重要な要素であるとする。そして、運は自分ではどうしようもないことであり、天に任せるしかないと思いがちであるが、天が運んでくる運(天運)と同時に自分で運ぶ運が存在していて、後者のほうが影響が大きいという事実を認識するのが重要ではないかと説く。つまり、運はコントロール可能でもあるのだという。


例えば、少しでもいいことをしていると、やがていい人ばかりと付き合うようになったり、明るく頑張っていると、もっとすごい人が手を差し伸べてくれたりチャンスを与えられたりする。同時に、成長している会社と付き合えば、自分の会社も成長する、と澤田はいう。自分ではどうすることもできない運は確かに存在するが、変えられる運をよくすることが重要だというわけである。


また澤田は、もう1つ知っておきたい大切なこととして「波動」を挙げる。波動とは一言でいえば、周期的に巡っているパワーを指すという。歴史を見れば、何百年という単位でも波はあっちに行ったりこっちに行ったりしている。文明や国に限らず、企業も、人も、間違いなく波の周期の中に含まれているという。より短期的な、目の前で起きていることに視点を変えるならば、そこでキーワードとなるのが「気」であるともいう。澤田は、ビジネスを進めていくうえで、そして人と付き合っていくうえでもっとも重要だと思っているのが「気」だというのである。


辛い状況に陥り、気落ちしたりすることはあろう。しかし、何があろうとも、命あるかぎり、元気に明るくやっていくことがやがて成果を生み、結果として自分を救うのだという。良い気を出ている人を見分ける方法としては、表情に注目したときに明るさを感じられる人、表情が豊かな人、そして仕事の内容とスピードだという。だからできるだけ良い気の出ている人に仕事を任せたくなってしまうのだと澤田はいう。

運がいい人というのはたいがいプラス思考の人、元気な人が多いという。良い気を発しているから人が寄ってきて、いろいろなものやチャンスを与えてくれる。これを「ツイている」と思いがちだが、必然なのだという。そして、ネガティブな人に近づかないこと、ネガティブな言葉を言いそうになっても我慢して飲み込むことも大切だという。逆に、良い気の出ている、あるいは運のいい人や会社と付き合うことだとう。


さらに、「陰と陽のバランス」は、運や波動、気とともに澤田が重要視しているものである。世の中にある二面性とそのバランスを考えなければならないということである。たとえば、あまりに調子のいいときには、あえてブレーキをかけ、抑え気味にすることによって平時の感覚を取り戻す。どうしても運が向かないときには、常識的な対応として「ひたすら待つ」。陰と陽にはバランスが働くため、陰の極致である状況が長続きするはずがないからである。逆らわず、無理をせずに身をひそめて、雨がやみ、陽がさす日がくるまで体力を温存することを優先すべきだという。