運の正体

藤田(2011)は、運と思われている事柄の大半が運ではないと指摘する。「運が良い」と思われている人の多くは、泥臭い努力を積み重ねて周りから運が良いと思われる状況を築いているという。成功の裏には努力の積み重ねが存在するため「運の良し悪し=努力の結果」だと指摘するのである。


幸運に見える人は、中長期的に考えて事前に手を打っていると藤田は指摘する。それが花咲くとき、周りは「運が良い」というのである。逆に「自分には運がない」と嘆く人は、招くべくして運が悪いという状況を作っているという。自業自得のケースがほとんどだというのである。例えば、以前からある目の前の問題を直視しようとせず、将来に向けての対策を打たなかったことがマイナスに作用していたりする。


また、運が良い人の近くにいると良い運が巡ってくるとよく言われることもその通りかもしれないという。努力家の人と一緒にいれば多くの刺激を受けるし、視点も高くなるからである。そういう人の「運の良さ」を観察するだけでも勉強になると藤田はいう。


ただし藤田は「運の波」と呼ばれるものはあると思うと述べている。ビジネスの世界では、社会情勢によって様々な運の波がやってくる。それに乗るかどうかはその人次第だという。運の波は主体的に捉えて、乗るかどうか決めなくてはならないと説く。波に乗るためには事前の準備が必要だが、最後の「今が勝負時」「ここは静観」という判断はセンスに左右される。