うねりを見据えてキャリア・サーフィン

本田(2009)は、キャリア・ドリフトの考え方を知って「キャリアはサーフィンと同じだ」という感想を持ったという。サーフィンといえば多くの人は波に乗っている姿を思い浮かべるだろうが、実はサーフィンとは、ほとんどの時間を「波待ち」に費やすスポーツなのだそうだ。


普段は波の状況を見据えて、タイミングを待ちながら、いつでもテイクオフできるに万全に準備を整えるのがサーフィンなのだ。波に法則性はないので、日ごろから自分を鍛え、どんな波にも合わせる力を鍛錬する。予測不可能な偶然の波に乗る力を蓄える。チャンスの波が来たら、いかなるタイミングでも乗りこなす。不安定な時代のパーソナル・キャリアづくりは、サーフィンとよく似ているという。


いい波が来るまで「待つ力」。いい波かどうか「見極める力」。ビジネスにおいても、好機という波を「乗りこなす力」は、練習を重ねて鍛え続ける必要があるし、根本的なビジネス筋力も必要だ。つまり本田は、先の読めない変化の時代には、キャリア・サーフィンが重要だという。5年、10年というタームで大きな方向性をとらえ、時代はどこに向かっているのかという「時代のうねり」を見据え、次に来る波に自分を合わせる。多様な思考を持ち、ときには流れに任せてみると、思いがけない大きな波に乗る快感を味わうことができるという。