冨山(2011)は、人生では自分ひとりで自らの成功を制御するには、あまりにも外部要因が大きすぎるとし、むしろ、いろいろな要素がどうしてもかみ合わない時代、いろいろな事柄がすべて自分にとって逆風となる方向に作用する時期はあるものだという。
人はえてして、こういう状況でじたばたして致命傷を負ってしまう。冨山は、城山三郎の「落日燃ゆ」の広田広毅の「風車 風が吹くまで昼寝かな」を引用し、最低限、飯が食えて夜露がしのべる場所があれば、そのことのありがたさを感謝して、大抵の失敗や挫折は受け流せるものだという。挫折や不遇をそうやって受け流してみると、生きていくことに不思議な自信が湧いてくるともいう。人生において絶好の充電、神様がくれた学び直しのチャンスだと捉えることも可能である。
つまり、挑戦をすれば必ず負け戦は増える。そこで、大きな逆向きの流れ、自分一人ではどうしようもない因子に圧倒的に支配されている感じがしたときは、とりあえず三十六計逃げるにしかず。風当たりの小さい脇道にそれて、木陰で逼塞してればよいというのだ。運のめぐり、風のめぐりは人それぞれ。自分の風が吹いて「風車」が回りだすまで、じっくりと力を蓄えるほうが結局うまくいく場合が多いという。