世の中は常ならず

堀江(2005)は、「生々流転で諸行無常。万物は常ならず」というのが現実の世界だという。「無常」は世の中の真理であるが、ともするとわれわれはそのことを忘れてしまうという。それが油断にもつながる。そして、作詞家の秋元康氏について、時代を見る眼を持ち、常にその時代の言葉を作り出していると評価している。おそらく「無常」という感覚をすごくよく理解して仕事をしているのだと推測している。移り変わる時代というのを、ごく冷静に、面白がって楽しんでいると。


堀江は、「とにかくでかいことを考えて、とうてい実現で着なさそうなことを考えて、それを実現させるということ」を心がけていると言うが、そこでは無常すなわち「世の中は常ならず」という考え方が重要になってくる。未来は現在の延長線上にあるわけではなく、世の中は無常で移り変わるからこそ、ありえないと思われることも実現しうる。


「でかいこと」は、到底実現できないものではなくて、世の中の流転に乗って積極的に行動することで、実現するチャンスが大いにあるということなのである。そこでは、時代の流れを味方につけ、流れに乗ることが重要だと指摘する。