コモンメソッド問題を防ぐための手段としては、研究デザインの工夫と、統計分析上の工夫とにわけられる。
研究方法上の工夫
従属変数と独立変数を異なるソース(媒体)で測定
例えば、業績に影響を与えると予想される行動を本人から、業績そのものは上司から収集するとか、企業カルチャーはサーベイから、企業業績は財務データから収集するなど。
異なる変数の測定をなんらかのかたちで分離
例えば、最初のサーベイで独立変数を、二回目のサーベイで従属変数を収集するといったような時間差の利用、サーベイ上の工夫により、独立変数と従属変数が別々の調査として収集しているように見せかける、被験者や回答者によって、回答してもらう場所や尺度の種類などを変化させる。
匿名性を保持
匿名性を保持することによって、回答にあたって、自分自身を好ましく見せようとする動機をおさえる。
質問順序のカウンターバランシング
質問順序を回答者によって変える。例えば、半分を1,2とし、残りの半分を、2,1というように逆順に尋ねる。
測定尺度の改良
曖昧な表現の除去、シンプルかつ具体的な質問、複雑な文法を使わない、など。
統計分析上の工夫
ハーマンの単一因子テスト
探索的因子分析や確認的因子分析によって、複数の変数が単一因子に落ち着いたり、一般因子がもっともよく分散を説明するならば、コモンメソッド問題が顕著であるという診断。問題そのものの解消には役立たない。
偏相関分析の利用
社会的望ましさ、マーカー変数、一般因子などを、統計分析上統制する。例えば、社会的望ましさの尺度や感情やムードといった状態を直接、同時に測定しておき、それを分析に加える。
直接測定された尺度に基づく潜在方法変数の利用
測定されていない潜在方法変数の利用
複数の方法因子
文献
Podsakoff, P. M., MacKenzie, S. B., & Podsakoff, N. P., 2003. Common Method Biases in Behavioral Research: A Critical Review of the Literature and Recommended Remedies, Journal of Applied Psychology, 88(5):879-903.